人との新たな出会いは前頭葉をフル稼働させる

地域のコミュニティや趣味のサークルなどで、新たな出会いを作ることも、もちろん初体験にカウントされます。

しかも、知り合って間もない人は、何を話してくるかわかりませんから、相手の言葉を聞いた瞬間にどう応対するかを考えておく。すると相手がそれに返答し、また応える、というやりとりを繰り返すことになります。

想定外のことの連続で、前頭葉はフル稼働しているに違いありません。

しかも、そこで楽しく会話をすれば脳内でドーパミンという気持ちを明るくしてくれる神経伝達物質が分泌されますので、まさに一石二鳥。脳を鍛えようとして、一人で黙々と数独などしているより、脳の活性化にはるかに効果があります。

日常生活の中に初めてのことをどんどん増やしていきましょう。

高齢者ならではのいい行動として挨拶もおすすめです。若者の場合、すれ違ったときに会釈したり、声をかけるのが照れくさかったり、相手に気を遣うことがあるでしょうが、高齢者が同じことをすると好意的に受け止められることが多く、それをきっかけに仲良くなることもあります。

たとえば犬の散歩に出かけて、犬を連れている人に挨拶すると、何人かに一人とは仲良くなれるでしょう。そして、生きることに前向きになれます。

「体を動かしていないから、肉は必要ない」は大間違い

ちょっとしたことでイライラしたり、なかなか怒りを鎮めることができなかったりすることは誰にでもあります。それも高齢になるほど増えていきます。

年齢とともに前頭葉が萎縮し、感情のコントロールが悪くなっていくことが原因のひとつですが、加えて、脳内の神経伝達物質であるセロトニンが減少していることも関係しています。

セロトニンは、幸福感と密接に結びついていて、減少してくると気分が沈んだり、イライラしたり、感情の不安定さを招いてしまうのです。

このセロトニンの材料となるのは、トリプトファンと呼ばれる必須アミノ酸の一種。「必須」とはなくてはならないことで、必須アミノ酸は人間の体では作り出せず、食べものから補給する以外に方法がないもの。つまり、体にとって大切な成分なのです。

トリプトファンは、たんぱく質から作られますので、セロトニンを増やすための手っ取り早い方法が肉を食べてたんぱく質を摂取すること。「いやいや、とくに体を動かしているわけでもないから、肉は必要ない」という人もいますが、その考え方はよろしくありません。

むしろ、肉を食べないことによるたんぱく質不足で、だるさを感じ、体を動かせなくなったともいえるのです。高齢者が元気でいるためには、アミノ酸を多く含むたんぱく質を摂ることが何より大事で、そのための理想的な食べものが肉なのです。

巨大なステーキとグラスワインに正解の札を上げているシニア男性
写真=iStock.com/sakai000
※写真はイメージです