かつてはラーメン街道だった早稲田通り

高田馬場を東西に貫く目ぬき通りが早稲田通りだ。並行して走る新目白通りが、交通量の多い幹線道路だとすれば、早稲田通りは飲食店が軒を連ねる生活道路。

2000年代の当初、早稲田通りは“ラーメン街道”の異名をとった。人気店が競って出店し激戦区を形成。安くて、早くて、旨いの三拍子揃ったラーメンは、腹を空かせた学生の胃袋を掴んで離さなかった。

2000年代の当初、早稲田通りは“ラーメン街道”の異名をとった
写真=iStock.com/Artit_Wongpradu
2000年代の当初、早稲田通りは“ラーメン街道”の異名をとった(※写真はイメージです)

しかし、都心部の地価の上昇とともにブームは去り、ラーメン店は減少する。

代わって存在感を増しているのが、中国人が経営する食堂だ。

「麻辣湯」「火鍋串串」「祖房四楼」「蒙古肉餅」「蘇茶」「沙県小吃」……。

中文で書かれた店名からは、中国料理店であることはわかっても、どんな料理が出てくるか想像がつかない。

全国の飲食店を網羅する食べログなどのグルメサイトにも掲載されていない店も多い。

2017年ごろから「ガチ中華」が進出

驚くのは雑居ビルの最上階。表通りには看板がないのに、連日、満員御礼の店もある。

客のほとんどが中国人。料理は経営者の出身地の地域性が色濃く反映され、日本人に馴染みのある“町中華”とは別物だ。

JR高田馬場駅周辺の表通りだけでも、中国人が経営するこうした食堂が25軒ほどある。裏通りや雑居ビルにも店舗はあるが数が多すぎて把握することは難しい。流動も激しく、半年で撤退する店もある。

こうした食堂が進出し始めたのは、2017〜18年の出来事だ。中国福建省に本店を構え、中国本土で6万店を展開する「沙県小吃(サーシェンシャオチー)」というチェーン店が、海外進出第1号店の場所に選んだのも高田馬場だった。