家計の見直しはどこから始めるべきか。SBIグローバルアセットマネジメント社長の朝倉智也さんは「50代になれば、多くの人にとって生命保険や医療保険は不要だ。浮いたお金は投資に回したほうがいい」という――。(第1回)

※本稿は、朝倉智也『私が50歳なら、こう増やす!』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

「マンション投資」で儲かった人を見たことがない

「マンション投資」についても、ここで取り上げておきましょう。広告がたくさん出ているのを見たり、あるいは営業を受ける機会があったりして、「不動産投資なら自分にもできるかもしれない」と考えたことはないでしょうか?

不動産
写真=iStock.com/simpson33
※写真はイメージです

不動産を所有して賃料を得るというのは、形のある物を自分の名義にできる安心感や「だまっていても定期的にお金が入る楽なやり方」といったイメージがあるのかもしれません。

それこそ、「賃料収入があれば、老後に年金の足しにできるのではないか」と考える人もいそうです。そこで「元手がなくても頭金ゼロで銀行がお金を貸してくれる」と聞けば、「試しにやってみよう」と本気になる人もいるでしょう。

しかし、これだけ頻繁に広告を目にするにもかかわらず、私の身近にはマンション投資経験者がいません。金融商品に詳しい私の周辺の人たちの中に「マンション投資で儲かった」という人がいないのは、それなりに理由があると考えています。

マンション投資でよく聞くのは、「頭金ゼロでも銀行からお金が借りられます」「借りたお金でマンションを買えば、賃借人探しや物件の管理はすべて業者がやります」「毎月15万円の賃料収入が得られます。毎月10万円ずつローンを返済すれば、残りが収入になります」といったセールストークです。

決して片手間でできるものではない

これを真に受けると、「そんなおいしい話があるのか」と感じるのも無理はないかもしれません。

しかし、このようなセールストークに乗せられてマンション投資を始めれば、高い確率で痛い目を見ることになるでしょう。マンションの維持にかかる固定資産税や修繕積立金などが見積もられていなかったり、マンションに不具合が出れば、そのたびに修理費用がかかったりするというのはよくある話です。

また、これから10年、20年と賃貸していく間、ずっと借り手がいて、家賃収入が入り続けると考えるのは甘いかもしれません。日本では2011年以降、一貫して人口減少が続いている一方、マンションの大量供給が続いており、各地では空き家問題も噴出しています。借り手がつかなくなれば、ローンの返済だけが重くのしかかることになりかねません。

もちろん不動産投資も、よい物件を見抜く力や不動産管理の知識などを持ち、人任せにせずに真剣に取り組めば、リターンを上げることは可能かもしれません。しかし「片手間にできそう」といったイメージで安易に手を出すのは、まったくおすすめできません。

私自身は、マンション投資に手を出すつもりはありません。