「聴く」は受け身ではなく、能動的な行為

とはいえ、「コンテクストを意識する」といっても、具体的に何をすればよいのでしょうか。まずは日々のコミュニケーションにおいて、次の2点を実践するところから始めることをお勧めします。

(1)「話す」よりも「聴く」

大切なのは、「聞く」ではなく、「聴く」こと。つまり「相手の話に関心を持ち、積極的に耳を傾けること」です。

コミュニケーションの方法論では、どうしても「話す」方面のノウハウが重宝され、「聴く」ことはあたかも受け身の行為であるかのような印象を持たれがちです。

でも、実態は真逆です。

「聴く」とは、「頷き」や「相槌」、視線や身振り手振り、態度も含めた「反応」によって、「あなたの話を真剣に受け止めていますよ」と全身で伝える、能動的な行為です。

「相槌」のレパートリーは多いほうがいい

たとえば、部下が話している最中もパソコンの画面に目を向けたままだったり、「次に何を言おうか」「どう突っ込んでやろうか」などと考えていたりして、肝心の会話内容の記憶はあいまいな上司は少なからずいるものです。でも、自分の大切な話をあたかも上の空のように聞き流されていたら、部下が嫌な気分になることは間違いないでしょう。

「何かタメになることを言ってやろう」と無理矢理教訓めいた話で締めようとするよりも、相手の「話したい気持ち」を推し量り、誠意をもって「聴く」ことのほうがはるかに重要です。

中でも大切なのが、相槌です。

会話における相槌の効用は、少しの配慮で好印象を得られる大変大きなものですが、意識的におこなっている人はさほど多くありません。

「はい」「ほう」「ええ」「なるほど」「おや」「おぉ」「ほほう」「ふーむ」……などといったバリエーションを使い分けるだけでも、相手は自分の話をしっかりと聴いて受け止めてくれている、という確かな印象が伝わってくるものなのです。

また、相槌は相手の話への積極的な興味関心を示す方法でもあります。

「ええー!」「そうなのか⁉」「驚いた!」「すごいなあ」「なんだって⁉」「そんなことってあるんだね!」「知らなかった!」「本当か⁉」などという積極的な反応が返ってきたら、話し手としても「自分の話に興味を持って聴いてくれているな」と張り合いが出るものですよね。