60歳以上の5人に1人がたんぱく質不足

過度な食事制限は低栄養、低カロリーを確実に招きます。すると代謝が悪くなり、エネルギー源であるブドウ糖をうまく活用できなくなるため、脂肪が体内に蓄積する。

つまり食べていないのに太るのですが、太ったからとダイエットをすると、さらに代謝が悪くなる。この悪循環の先に待ち受けているのが新型栄養失調症です。

あまり知られていないことですが、日本では60歳以上の5人にひとりがたんぱく質の欠乏などによる新型栄養失調症だといわれています。いきすぎた生活指導の影響であることは疑いようもありません。

粗食はストレスにつながり、免疫機能にも悪影響をおよぼすため、風邪をひきやすくなったり、うつになりやすくなったり、日本の死因トップであるがんの発症率が高まります。

つまり肥満やメタボを気にして食べないというのは非常に危険な行為なのです。肉は避けて魚中心で、なんなら野菜オンリーでなどと考えるのもナンセンス。

ベジタリアン(菜食主義者)やビーガン(卵や乳製品も食べない完全菜食主義者)は短命であるといわれています。おそらく豆などでは十分なたんぱく質をとることができないのでしょう。

色どり鮮やかなサラダ
写真=iStock.com/sasirin pamai
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コンビニ弁当は栄養バランスの良い長寿食

とはいえ、いろいろ試した結果、それが自分に適した健康法なのだというかたは貫くべきでしょう。

わたしだって「その血圧ではマズイよ、その血糖値じゃ死ぬよ」といわれても、自分のやりかたを変える気はないのです。

でもリスクをとりたくない人にとっては、「かたよらず、何でも食べる」ことこそが大切だとわたしは考えています。どんなものでも足りない害があるからです。

とくにその害が大きくなる高齢者には、質素な食事より、バラエティに富んだ幕の内弁当をおすすめします。

おそらく、20~30種類の食材を使っているのではないかと思うのですが、あれほどの種類のおかずを家でつくることはできません。

その意味ではコンビニ弁当も非常にバランスよく栄養をとりいれることができる長寿食だといえるでしょう。

わたしは好んで食べていますが、添加物が入っているのではないか? 加工食品を使っているのでしょう? と難色をしめす人もいるようです。

でもたとえば発がん性にしても、確率的には1万分の1の単位です。