過去は単なる「事実」「結果」だが、「よい経験」にも変わる

さらに、直感で「これをしたい」とピンとくるものがあるなら、迷わずにそれを実行すべきです。直感的に自分がするべき、あるいはやめるべきだと感じることは、無意識が呼びかけている心の声です。

ひらめきや直感は右脳の働きですが、普段から考えすぎてしまう左脳型の人が直感にしたがって「右脳を使おう」と意識すると、左脳の分析力や論理的思考が最高の形で発揮できるのです。

直感にしたがって行動して、大きな成功をつかんだ人は大勢います。

まだ誰もやっていないことにチャレンジするときは、なかなか決断できないこともあります。そのチャレンジが成功するかどうかは運やタイミングも関係するでしょうが、行動しなければ何も変わりません。運も引き寄せられないでしょう。

日常の小さな選択を迫られる場面でも、ときには、決断してから「あー、やっぱり、あっちにしたほうがよかったかな」と思う場面もあります。けれども、どちらを選択しても後悔することはあるので、そこでくよくよと考えないことです。

悩む女性
写真=iStock.com/metamorworks
※写真はイメージです

たとえば、青い服と赤い服で迷って赤い服を買ったら、まったく似合わなくて「青い服にしておけばよかった……」ということもあるでしょう。

これは赤い服を選んだのは失敗だったという話ではなく、「赤い服は自分に似合わない」という発見です。その発見を次に生かせばいいだけです。

過去は単なる「事実」であり「結果」です。それ以上でも以下でもありません。しかしその過去は、これからの行動で「よい経験」に変えられます。

ご存じの方も多いと思いますが、発明家のトーマス・エジソンは「私は失敗したことはない。うまくいかない1万通りの方法を発見したのだ」という名言を残しています。

1万1回目にうまくいけば、1万回の失敗はそこにたどり着くためのプロセスに過ぎなかったといえます。

迷わず行動を起こせば、道は開けると私は信じています。

物事をスムーズに進めたいなら、「マイルール」をつくっておく

何事も瞬時にレスポンスができれば、迷ったり悩んだりする時間はぐんと減り、すべてが一瞬で解決します。

「この企画、A案とB案、どちらがいい?」
「A案がいい!」

のように。

もちろん、会社経営のように多くの人の生活がかかっている問題は瞬時に判断できないものですが、私の経験では、最初に思いついたことが一番ふさわしい解決策であることが多い気がします。

正しい答えを導くには「自分の中にブレない軸があるか」が大事です。これがないと一貫性がなくなり、まわりも自分も混乱してしまいます。

「さっき、A案がいいっていったけど、B案もいい気がしてきた……あ、やっぱりA案かな」

こんな調子では、まわりは困りますよね。

軸というのは自分の価値観や信条だったり、会社の理念であったり、思考の土台になるものです。この軸(基準)を自分の中に明確に持っておくと、迷いがなくなります。

たとえば、私は個人の理念を、「利己よりも利他」「損得よりも善悪」「安定よりも挑戦」「他責より自責」と決めています。そして社員にもいつもこれらの言葉を投げかけています。

これは大事なポイントです。

たとえば、テストの採点をしているところに、生徒が相談に来たとします。

「今やりかけている作業をキリのいいところまで終わらせてしまいたい」と生徒を待たせたり、作業をしながら話を聞いたりしたら、生徒は不信感を募らせるでしょう。意を決して相談に来たかもしれないのです。

「利己より利他」と決めていたら、自分がどんな作業をしていても中断して、生徒の話を聞くことを優先するようになります。

また、受講の方法も「通常、1教科しか受講していない生徒でも、定期テスト前は、全教科の対策授業を受講できるようにしよう。人件費はかかるけれど、生徒たちにとって必要なことなので、このサービスは続けよう」と判断できます。

どちらかで迷うような場面で、考える隙を与えないためにルールを決めておくのが大事なのです。

物事をスムーズに進めたいなら、自分のルールをつくっておくといいでしょう。「社内の都合より、お客様の都合」というマイルールをつくったのなら、「お客様のリクエストを受け入れたら、上司に叱られそうだな」と思うのだとしても、お客様を優先させる。

それがお客様にとっても自分にとっても正しいことであるなら、きっとお客様から感謝され、人の役に立てたという喜びを得られるでしょう。