AIにはできない「おせっかい」

実は営業で身を立てていった女性は多く、その草分けとも言える女性をここでご紹介します。その名も「おせっかい協会」会長です。

PR会社の創業者高橋恵さんは、ゼロから出発して営業で自分の会社を大きくしていかれました。営業は徹底的に相手のことを考える、ちょっとした「おせっかい」ということを信条とされています。

その逸話の一つに、ある会社を訪問したところ、けんもほろろに追い返されそうになったとき、たまたまその社長が指先をナイフで切られたところが目に入ったそうです。高橋さんは慌てて、薬局に行き、消毒薬や止血剤、包帯などをあっという間に買って届けたところ、気に入られて、広告を発注してもらえるようになったとお聞きしました。

仕事がほしくて気に入られようと思ってした行動ではなかったそうですが、相手を思いやる行動で相手の心をつかむことができたということです。

そのけがをした社長さんが高橋さんの会社に広告を発注したのは、包帯のお礼というよりも、そんな思いやりのある人ならば、こちらの要望をしっかり聞き取ってくれるだろう。そんな心の温かな人の会社ならば、わが社に合った心の通った広告を提案してくれるに違いない、とも思われたのではないでしょうか。

AIにはそんなこまやかで臨機応変な対応はできそうにもないですね。

営業という仕事の本質

また、InstagramなどのSNSのインフルエンサーとして、身の回りの商品などの「映える」写真を撮って宣伝しているのは主に女性です。おいしいものやかわいいお店を見つけたら、ついつい人におすすめしたくなってしまう。小さなおせっかいですね。営業も似ているところがあります。

営業は相手に合った良い商品をおすすめするのが基本です。あなたの要望にはこれが合う! この商品がおすすめです。営業というのは小さなおせっかいの集積と言えるかもしれません。

女性のビジネスパーソン
写真=iStock.com/maruco
※写真はイメージです

商品の性能が良くなり、価格も似たり寄ったりとなれば、「誰から買うか」ということが購買の決定要因になります。つまり、信頼できる人から買えば、嘘のない良品を仕入れられる。その後のメンテナンスも親切にしてもらえそうだし、新しい情報をまた持ってきてくれそうだと思える。

そんな「人」の部分を大切にできるのが営業という仕事なのです。