2012年10月19日(金)

なぜ所得の低い人ほど宝くじを買うのか

『なぜ貯金好きはお金持ちになれないのか?』チョイ読み【第10回】

PRESIDENT BOOKS /PRESIDENT Online スペシャル

著者
北川 邦弘 きたがわ・くにひろ
ファイナンシャルドクター

北海道出身、1957年生まれ。早稲田大学政経学部卒業。総合商社勤務の後に不動産デベロッパーに20年勤務。バブル期に100億円近い債務を背負い、自宅は競売に付され、預貯金も差し押さえられる。職までも失うが、友人たちの応援を受けて2002年にライフデザインシステム株式会社を設立し、新たにファイナンシャルドクターとして個人の資産運用を啓蒙する仕事で再起を遂げた。
投資、不動産、相続対策、ライフプランと横断的な切り口で、約3,000件の相談をこなす。幸い2007年までの株高に恵まれ、投資信託販売で某証券会社全国第2位の業績を獲得したが、リーマンショックで顧客の資産を損ね、再び絶望の淵に落とされた。この危機に資産を失う人と逆に資産を増やす人がいることを目の当たりにして、資産運用の真髄を知る。今では海外視察を繰り返しながら世界分散投資を徹底している。
すべての体験を糧に、100歳までたくましく生き抜く人生戦略(定年までに1億円を作るプロジェクト)の普及に取り組んでいる。早稲田大学エクステンションセンターで人気講座「心豊かに生きるためのお金のお話」を9年間連続開講中。また、オールアバウトで資産運用のプロとして「大人のお金トレーニング講座」を連載中。CFP(上級ファイナンシャルプランナー)取得者。

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執筆記事一覧

ファイナンシャルドクター 北川邦弘

アメリカの宝くじで大金を手にした人の10年後を追跡調査した結果がある。ほとんどの人が当選前と変わらぬ生活に戻っていた…。

きっと一時的に手にした大金はその人の人生を変えてくれたわけではなく、一時的な消費と周囲の人への施しに回ってしまったのであろう。宝くじで人生を変えられるとしたら、その大金を上手に使って、お金持ちになるための自己改革を遂げることだったはずである。

これもアメリカの調査結果だが、年収1万3000万ドル(約114万円)以下の家庭では、平均すると1年に645ドル(約5.6万円)を宝くじに費やしていることが分かった。所得が低い人ほど、よく宝くじを買うのだ。

現実の生活でお金の問題を改善できる見通しが立たない人は、生活をなお苦しくしてまでも、お金持ちになる夢を追い求めるということである。豊かな未来を期待する感情が、宝くじを買う瞬間に得られるからだろう。この事実が日本でも当てはまるとは限らないが、人間の本性としては理解できないこともない。

また、米国の研究チームは、自分が貧しいと感じている人ほど宝くじを買う傾向が強いとの調査結果を発表した。専門誌「Journal of Behavioral Decision」に掲載された同調査では、自分自身の所得が一定水準を下回っていると感じると、人はリスクを取りがちになり、貧困のワナにも陥りやすいとしている。

なぜ貯金好きはお金持ちになれないのか? [著]北川邦弘 (プレジデント社)

研究チームは、年収10万ドル(約850万円)未満の被験者グループに対し、あなた方は「低所得者」であるとほのめかして宝くじを購入させ、その枚数を比較したところ、年収10万ドル以上のグループが0.67枚だったのに対し、年収10万ドル未満のグループでは1.27枚だったという。

調査に協力したカーネギー・メロン大学のジョージ・レーベンシュタイン教授は「主観的に貧しいと感じていると、人は道理に反するぐらい多くの宝くじを買うことになる」とコメント。貧しさを感じる人ほど「お金を捨てる」傾向が強いのは、とても逆説的だとしている。

日本で売られているナンバーズは、そんな宝くじにもうひとつの仕掛けを加えた付加価値商品である。それは自己過信というスパイスを加えて、宝くじをより美味しく感じさせる結果を生んだ。人は受け身的に与えられる宝くじ番号よりも、自分で考えた番号を選択するくじのほうが当たる確率が高まると考えるようだ。

『なぜ貯金好きはお金持ちになれないのか?』(プレジデント社)
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