2012年11月19日(月)

ベストセラー「金持ち父さん」が落とした誤解

『なぜ貯金好きはお金持ちになれないのか?』チョイ読み【第11回】

PRESIDENT BOOKS

著者
北川 邦弘 きたがわ・くにひろ
ファイナンシャルドクター

北海道出身、1957年生まれ。早稲田大学政経学部卒業。総合商社勤務の後に不動産デベロッパーに20年勤務。バブル期に100億円近い債務を背負い、自宅は競売に付され、預貯金も差し押さえられる。職までも失うが、友人たちの応援を受けて2002年にライフデザインシステム株式会社を設立し、新たにファイナンシャルドクターとして個人の資産運用を啓蒙する仕事で再起を遂げた。
投資、不動産、相続対策、ライフプランと横断的な切り口で、約3,000件の相談をこなす。幸い2007年までの株高に恵まれ、投資信託販売で某証券会社全国第2位の業績を獲得したが、リーマンショックで顧客の資産を損ね、再び絶望の淵に落とされた。この危機に資産を失う人と逆に資産を増やす人がいることを目の当たりにして、資産運用の真髄を知る。今では海外視察を繰り返しながら世界分散投資を徹底している。
すべての体験を糧に、100歳までたくましく生き抜く人生戦略(定年までに1億円を作るプロジェクト)の普及に取り組んでいる。早稲田大学エクステンションセンターで人気講座「心豊かに生きるためのお金のお話」を9年間連続開講中。また、オールアバウトで資産運用のプロとして「大人のお金トレーニング講座」を連載中。CFP(上級ファイナンシャルプランナー)取得者。

公式ウェブサイト:http://www.xfpx.com/
ブログ:http://xfpx.blog.so-net.ne.jp/
フェイスブック:http://www.facebook.com/kitakuny
Twitter:https://twitter.com/#!/kitakuny
メール:k@xfpx.com

執筆記事一覧

ファイナンシャルドクター 北川邦弘
1
nextpage

ベストセラー、ロバート・キヨサキさんの『金持ち父さん貧乏父さん』は画期的な本だった。2000年の出版だから、もう12年前の本ではあるが、私もこの書籍がきっかけでファイナンシャルアドバイザーになろうと決めた。

日本人の勤労至上主義、潔癖な清貧思想、艱難辛苦が人を磨くという禁欲的な発想に風穴を開けてくれた本だと思っている。そして、この本を読んだ何人かの若者からの質問や相談を私が受けるうちに、意外な副産物が2つあることを発見した。

キヨサキさんはこの本で、「お金は最高のものではなくて、お金を超えた所に人生の意義があるのだ」と、まず断っている。けっしてお金がすべてというお金の亡者ではない。むしろ人の生き方を説いている。

しかし、働くことが面倒な若者たちや不幸にして職にあぶれた若者たちは、この本を読んで働く必要などないと早合点してしまったようだ。そうした若者たちが、「不労所得の作り方を教えてください」と私のところにやって来た。

「不労所得を得るにはまず頭金が必要だよ」と答えると、それは話が違うと口をとがらせる。ロバート・キヨサキさんが、「まず、ファイナンシャルアドバイザーのところへ相談に行け」と本に書いていたからだ。

そこで私は、「投資には資金が必要だし、そのためにはまず、給料をもらえる身になりなさい。せめて100万円貯まったらいらっしゃい」と優しく諭して帰したが、再び来た人はいまだにいない。若いうちは不労所得の作り方なんて考えずに、まずは働こう。自分の得意なことをして、少しでも稼げるようになろう。そうしたら、お金以外の喜びも発見できるかもしれないのだから。

2つの目の誤解は、紙のポートフォリオは時代遅れという話だ。紙のポートフォリオとは株券や保険証券、投資信託などを組み合わせた金融商品の固まり(ポートフォリオ)を指している。それらを否定して、現物の不動産やマイカンパニーを持つことをロバート・キヨサキさんはすすめている。しかし、これは相当に高度な話である。

キヨサキさんのいるアメリカは、投資の世界では日本の30年先をいっている。その最先端の国から、かなりマネー音痴なこの日本国民に最新の助言をされると、まるでタイムマシンに乗ったようで乗り物酔いをしてしまう。

PickUp