データサイエンティストは引っ張りだこに

もうひとつ、数学を学ぶ今の時代だからこそのメリットがある。

データサイエンスという言葉を聞いたことはあるかな? データをサイエンス(科学)する、つまり集めた数字を読み解いて、新しいことを発見したり共通点をみつけたりする仕事、それがデータサイエンスだ。

方程式が書き込まれた黒板
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そして、読み解くための道具として必要になるのが、数学の基礎なんだ。今、日本の大学ではデータサイエンス学部がバンバン新設されている。これからニーズが高まる分野であることがすでに予想されているからだ。「今、将来性のある分野をひとつ選ぶなら?」と聞かれたら、僕は人工知能やデータサイエンスと即答する。

膨大なデータが溢れかえっている現代において、データの取集・分析・活用ができるデータサイエンティストや最先端の人工知能のエンジニアは、今後あらゆる業界で引っ張りだこになるだろう。

きみたちがこれから数学で習うベクトルや行列、統計学、プログラミングは、すべてデータサイエンスにつながっているし、あらゆる分野で活用されるということは、数学の基礎がわからないと置いていかれるということでもあるんだ。

苦手であっても、数学はサボらずに基礎を叩き込んでおこう。努力したぶんだけ、将来のきみを必ず助けてくれるはずだ。

「著者の心理を述べよ」問題のおかしさ

絶対に勉強してほしい英語や数学とは逆に、「これからの時代、その勉強にはそんなに力を入れなくていいよ」「やらなくていい」とこっそり伝えたい科目もある。

まずは、国語だ。小学校で習う読み書きや文法は、もちろん必要だろう。けれども、それだって最低限をおさえておけばいい。きみたちが大人になっている頃には、手書きで仕事をするような機会は今よりもっと激減しているはずだ。日常のやり取りだって、スマホやPCの予測変換機能を使えば問題ない。漢字の「とめ・はね・はらい」を細かくチェックするような指導は、意味がないものになっていくだろう。

そもそも、日本の国語教育は「筆者の心理を述べよ」といった読解力を問うことに極端に偏りすぎている。ある小説や論文のたった一部分だけを切り取って、その範囲内だけで読み取った「筆者の心理」は、果たして本当に正解だろうか? もしかしたら切り取る前の部分に書かれていることを読めば、違う「心理」がみえてくるかもしれないのに。