東日本大震災を上回る規模の「南海トラフ巨大地震」が高確率で発生すると予想されている。そのとき、日本列島に何が起きるのか。東京都知事政務担当特別秘書、宮地美陽子さんの著書『首都防衛』(講談社現代新書)より、一部を紹介する――。(第2回/全3回)
災害で壊れた街並みのジオラマ風景
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国民の半分が被災する「異次元の被害レベル」

南海トラフ沿いの地域は100~150年の周期で大規模地震が発生しており、前回の襲来から約80年が経過した今日、発生確率は日を増すごとに高まっている。

南海トラフは、静岡県の駿河湾から九州の日向灘ひゅうがなだ沖までのフィリピン海プレートとユーラシアプレートが接する海底の地形を形成する区域を指す。南海トラフ沿いのプレート境界では海側のフィリピン海プレートが、陸側のユーラシアプレートの下に1年あたり数センチの速度で沈み込む。その際のひずみが蓄積され、ユーラシアプレートが跳ね上がることで発生する地震が南海トラフ巨大地震だ。

【画像】南海トラフ巨大地震の震度分布(強震動生成域を陸側寄りに設定した場合)
南海トラフ巨大地震の震度分布(強震動生成域を陸側寄りに設定した場合)(気象庁HPより)

南海トラフ巨大地震は一体、何が怖いのか。真っ先に挙げられるのは国民の半分が被災する「異次元の被害レベル」だ。政府は東日本大震災以降、「想定外」をなくすため、被害想定は起こり得る最大規模の地震で見積もっている。

前回の南海トラフ地震は全容がわかっていない

2013年5月の「南海トラフ巨大地震対策について(最終報告)」では、「まさに国難とも言える巨大災害」という強い表現で警鐘を鳴らしている。

最大クラスの巨大地震・津波については、千年に一度あるいはそれよりもっと発生頻度が低いものであるが、仮に発生すれば、西日本を中心に甚大な被害をもたらすだけでなく、人的損失や国内生産・消費活動、日本経済のリスクの高まりを通じて、影響は我が国全体に及ぶ可能性がある。

過去の南海トラフ巨大地震の発生は、歴史の転換期と重なる。前回は1944年12月に南海トラフの東側で「昭和東南海地震」が発生し、そのわずか37日後に、内陸直下の地震「三河地震」を引き起こしたとされる。この二つの地震は戦時下であったため地震の大きさに比べ十分な資料が残されておらず「隠された大地震」とされる。