「助けさせてもらう」という謙虚な気持ちを

あるいは、友人から旅行のお土産をもらうと、自分が旅行に行ったときにもお土産を買っていかないと悪い気がしてくる。相手は見返りを期待してお土産をくれたのではないとわかっていても、何かの形でお礼をしないと、何となく気分がスッキリしないのです。

このように、人はだれかから何かをしてもらうと、「借り」をつくってしまった気持ちになり、その状態のままでいるのが非常に嫌なのです。

というのは、私たちは無意識のうちに「何かをしてもらったときにお礼を返さない人は嫌われる」という社会的ペナルティがあることを知っているからです。

中野信子『新版 科学がつきとめた「運のいい人」』(サンマーク出版)
中野信子『新版 科学がつきとめた「運のいい人」』(サンマーク出版)

つまり、だれかを助けるというのは、相手をそういう気持ちにさせることなのです。

もちろん、助けた相手が感謝の気持ちを抱いてくれる場合もあるでしょう。しかし同時に「悪いな」「お礼をしたい」という気持ちも抱えています。

だれかを助ける行為は尊いことですが、相手の気持ちに負担をかけていることも忘れずにいたいものです。「助けてあげる」というより、「助けさせてもらう」という謙虚な気持ちを抱くことが大事、といえそうです。

また、助けた相手からのお礼は快く受け取りましょう。「借り」を相手につくらせたままお礼を返させないと、その相手はずっと、「借り」を抱えた不快な状態でいることになり、しまいにはあなたを重たい存在と感じるようになってしまいます。お礼を受け取ることで、相手の気持ちを軽くしてあげるのも、とても大切なことなのです。

【関連記事】
表面的な"いい人"ほど気持ち悪いものはない…中野信子「気難しい私が至った人付き合いの最終結論」
褒めれば褒めるほど相手の気分を害してしまう…絶対に使ってはいけない「3文字」の褒め言葉
「顔で笑って心で泣く」がベスト…自律神経の名医が教える「医学的にやってはいけない」5つのNG行動
抗うつ薬と同じくらい不安を減らす作用がある…医師が「心に効く」と言うスーパーで買える"身近な食材"
これだけは絶対にやってはいけない…稲盛和夫氏が断言した「成功しない人」に共通するたった1つのこと