未婚率が高いのは非正規男性と正規女性

2020年国勢調査における生涯未婚率(50歳時未婚率)は、配偶関係不詳補完値ベースで、男性28.3%、女性17.8%で、1920年からの国勢調査史上、最高記録でした。当然これは地域によっても差があります。

路上で信号を待っている若いビジネスマン
写真=iStock.com/monzenmachi
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都道府県別にみれば、男性のトップは東京都の32.1%ですが、最下位は滋賀県で23.0%。その差は約9ポイントもあります。同様に、女性のトップも東京都で23.8%ですが、最下位は福井県の12.1%でこちらは倍近い差があります。

都道府県別だけではなく、雇用状態によっても差があります。

2022年の就業構造基本調査より、正規雇用と非正規雇用とで男女別の生涯未婚率を計算してみると、男性の正規雇用が20.9%であるのに対して、女性の正規雇用は26.1%と、正規雇用に限れば男性より女性の生涯未婚率のほうが高いわけです。それも、生涯未婚率対象年齢の45~54歳だけではなく、30歳以上はすべて女性が上回ります。つまり、正規雇用だけでみれば、男性より女性の未婚率が高いことになります。

非正規雇用では、女性が11.6%と低いのに対して、男性は61.4%と非常に高くなっています。図表1で一目瞭然ですが、未婚率は、高い順に「非正規男性>正規女性>正規男性>非正規女性」という順番になります。

【図表1】男女年齢別雇用形態別未婚率と未婚人口

正規雇用であっても結婚できない問題

これだけを切り取ると、昨今の男性の未婚化は非正規雇用によるものだと勘違いしがちですが、決してそうではありません。生涯未婚率対象年齢の45~54歳を抽出して、正規・非正規別の未婚人口を見ると、むしろ男女とも圧倒的に多いのは男女とも正規雇用者のほうであり、未婚化はむしろ「正規雇用であっても結婚できない問題」でもあるのです。

以降、正規雇用の男女に絞って進めていきます。

まず、正規男女の年収別の生涯未婚率をグラフ化すると、男性は高年収ほど未婚率が低くなり、反対に女性は高年収ほど未婚率が高いという「Xの字」型になります。丁度、年収400万円を境に男女が逆転します。女性の場合、年収が高くなればなるほど未婚率があがるとまでは言えませんが、明らかに年収400万円以上では男女の差が開いています。

しかし、だからといって、これだけで「稼げない男と稼ぐ女は結婚できない」と単純化して結論づけることはできません。これも率だけで判断せずに、同時に人口実数で見ると、また違った様相が浮かび上がります。