世界中で需要が高まり“買い負け”が多発

水産庁が公表している1988年から2020年の「まぐろ類」の国内生産量は26万トンから11万トンに下がっている。また輸入量は46万トンから28万トンと同じく減少している(農林水産省「漁業・養殖業生産統計」、財務省「貿易統計」)。

各弁当店でマグロが仕入れられずに使用魚を変更したといったニュースが流れた。マグロだけではなく漁業者から卸売業者に販売している魚種は総じて2022年に前年より値上がりした。それは大衆魚にも及ぶ。マグロのような高級魚だけではなく、円安、漁獲量の減少や原油価格の高騰に加えて、諸外国への買い負けが生じているからだ。

2022年には大手回転寿司チェーンが価格改定を発表したのも記憶に新しい。またズワイガニも5年で倍近くの金額になっている。世界中で食する人たちが増えた。需要が急増し、かつ日本は高値で応札できていない。結果、日本の輸入量は2022年までの10年で約2割減少し、そして金額は約2.2倍になった。水産資源だけではない。牛肉も中国に「買い負け」する場合が多い。

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中国は牛肉輸入量が激増している。2016年に50万トンちょっとだったのに2021年には233万トンに上った。市場では台湾や韓国などのアジアの国々が牛肉を買おうと争う。日本では手に入らない状況を「ミートショック」と呼んだ。

他国は日本より3割以上高い価格で購入している

他国が買い争う肉を調達しようと努めても「高くて、買ってもその価格で売れないから儲からない」とする日本商社もいた。世界の業者も中国が高く買ってくれるため、日本の企業にふっかけることもあった。しかし日本が買ってくれなくても中国が買ってくれる。むしろ日本から諸外国への牛肉の輸出は急増しているほどだ。

同じく中国を中心としたバイヤーらが日本国内の買い手より3割以上高い価格で購入する。日本の商品を高く買ってもらえる状況は喜ばしいともいえるが、喜んでいいのだろうか。また、低糖質で人気になっている羊肉も中国の火鍋消費の伸びに影響を受けている。日本が羊肉の3割を調達するのはニュージーランドだが同国は中国へも多く輸出する。中国は旺盛な需要を誇る。日本の同国からの輸入は2020年から2021年にかけ一時、減少した。

また、ブラジル産の若鶏肉も値段が高騰している。理由は他国が高値で調達するため、日本が買い負けているからだ。数年前までは日本より高く買ってくれる国はなかった。多くのブラジル養鶏農家は商社を通じて鶏肉を販売する。養鶏農家が言語の違う国に、貿易実務まで請け負って販売するのはなかなか難しいからだ。