2011年3月、テインセイン大統領が誕生し、今年4月の連邦議会補欠選挙では、軟禁を解かれたアウン・サン・スーチー氏が国会議員に当選するなど、曲がりなりにも民主化への道を歩み始めているミャンマー。人口約6000万人、賃金はタイの8分の1とされる“最後の未開の地”を、海外資本が狙っている。

同国への経済制裁を続けてきた米国の顔色をうかがう格好で、事実上投資を控えていた日本も、今や外務省主導の“オールジャパン”体制を組んでやる気十分。ただ、その投資実績はまだ少ない。

「日本貿易振興機構(JETRO)の人が『ペプシ・コーラの広告が増え、サムスンの看板も出始めた。日本は乗り遅れている』と強調した」(NGO関係者)

現在、先行する中国・韓国を含む国々をミャンマー側が“選り好み”している状態。しかも、地元企業保護のために海外資本に足かせをはめる意向を示している。

「9月7日に連邦議会を通った外国投資法は、まだ最終版の確認は取れていないが、“外資制限法”とも言うべき厳しい内容が含まれそう。特に、海外からの投資の上限が50%というのは厳しい」

とは、シンガポールを拠点とするラジャタン法律事務所の栗田哲郎弁護士。この地で日本企業は何を心がけるべきか。

「日本企業は税法上のメリットを特段考えず、日本から直接投資してしまうが、租税条約などで有利なシンガポールを通じたほうが有利なことが多い。また、単独で出資が許されていても、ミャンマー投資委員会から事実上の合弁の要求がくることがあるので、安易に単独での出資を狙わず、必要に応じて合弁などの形態にして進出する必要があります」(同)

企業の東アジア進出に関わる某コンサルタントは、「大切なのは『多国籍で組む』こと」だという。

「日本企業は単独で真正面から入ろうとしがち。これでは埒が開かない。ミャンマーは法律という概念のない国。そういう場では、国を越えた仲間をつくることが必要です。例えばEU某国政府が中国の弁護士に現地調査を頼むような手法が“国際標準”。日本だけが蚊帳の外です」

勝手の違う異国でしぶとく生き抜くには、一本調子ではなく柔軟で多様なリソースを使える態勢づくりが必須だ。