甲子園以上に「過酷」な夏のインターハイ

高校スポーツ界では「夏の甲子園」が最も注目度が高いが、夏休みにはインターハイ(全国高校総体)も開催されている。陸上競技、サッカー、テニス、ハンドボール、ホッケーなど屋外で行われる競技は、夏の甲子園と比べて「暑さ」という意味ではさらに上をいく。

サッカーは通常の90分(45分ハーフ)ではなく、試合時間を70分(35分ハーフ)に短縮。途中で「クーリングブレイク」と「飲水タイム」を挟むとはいえ、決勝まで進出したら7日間で6試合をこなすことになる。夏の甲子園以上に過酷な状況だ。

炎天下でのスポーツが問題視されるなか、男子400mハードル日本記録保持者・為末大氏のツイート(現X)が拡散された。

「【夏季期間において10-17時は18歳以下のスポーツ大会を禁止する】としてはどうでしょうか。(公財)日本スポーツ協会『スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック』では、『35度以上では、原則運動を禁止する(特に子供)』というガイドラインを出しています。今の日本では気温の上昇が著しくなっており、38度を超えることも珍しくありません。ガイドラインに従えば、すでに大会もトレーニングもできないことになっています」

為末氏は夏のスポーツ活動を禁止するのではなく、大会の開催時間を夕方以降にするなど、涼しい時間帯にズラす案を示している。ただ中高生の大会を夜に行うのは好ましくない。

走り出したスプリンター
写真=iStock.com/Pavel1964
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そこで筆者は、夏の全国大会を競技別で「聖地化」することを提案したい。

夏に開催されるインターハイ(全国高校総体)は地域(南関東、近畿、東海など)での持ち回り方式で開催されている。毎年、開催場所は異なるが、それを固定してしまうのだ。

冬のインターハイは全国高校駅伝が京都、全国高校ラグビーが大阪。それから全国高校サッカー選手権、全国高校バスケットボール選手権(ウインターカップ)、全日本バレーボール高校選手権(春高バレー)は東京で開催されている。そのためラグビーでいえば花園(東大阪市花園ラグビー場)、サッカーでいえば国立(国立競技場)がプレーヤーにとっての“聖地”になっている。

なお今年のインターハイは北海道で開催中。福岡から現地取材に行った記者は、「福岡の暑さと比べたら、全然違う。毎年、北海道でいいのに」とぼやいていた。

記者でもそう感じるくらいなので、選手たちも北海道など涼しい開催地が良いに決まっている。熱中症の問題だけでなく、パフォーマンスにも影響してくるからだ。