脳の老化を防ぐことはできるのか。認知症予防医の広川慶裕さんは「喫煙は、血流に悪い影響があるだけでなく、脳の認知機能を司る大脳皮質を薄くしてしまうので、いますぐやめるべきだ。糖質やアルコールも脳の機能を低下させるリスクがあるため、取り過ぎには注意してほしい。」という――。

※本稿は、広川慶裕『脳のスペックを最大化する食事』(ハーパーコリンズ・ジャパン)の一部を再編集したものです。

ラーメン
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実年齢は40代なのに「脳年齢は80代」

脳の老化はとうぜん、加齢によって進行します。60歳以降になると、どうしても加齢によって脳細胞が萎縮していきます。本書では、この脳の萎縮のスピードを遅くし、萎縮そのものを予防する方法をお伝えしたいと考えています。

まず、脳の萎縮を遅くする方法があるわけですから、その逆に、脳の萎縮を早めてしまうこともあるということはイメージできるかと思います。実際、若い人でも生活習慣によっては脳の老化が進んでしまうことがあります。私がクリニックで診察した患者さんのなかに、若年性認知症の人がいました。実年齢は40代でしたが、脳の萎縮が進んでおり、MRIで検査してみると、80代並みの状態になっていました。

脳の老化を進行させてしまうメカニズムを見てみると、主な要因は決まっています。実際に患者さんを診察していても、ある要因が共通点として見られるのです。脳が老化するメカニズムを知ることは、脳のパフォーマンスを高めるために必須の条件です。

さて、脳の老化を早める要因は4つあります。1つずつ解説していきましょう。

お酒、ラーメン、スイーツは糖質たっぷり

【脳が老化する要因①】糖質を過剰に摂取している

糖質の過剰な摂取は、脳を老化させる原因となります。糖質は細胞が活動するエネルギー源になりますが、これも取りすぎはよくありません。暴飲暴食をしてしまうときは、たいてい糖質が多いものを食べています。

ちょっと思い出してみてください。お酒はその多くに糖質が含まれています。さらにお酒を飲んだ後の締めのラーメン。麺には糖質がたっぷり含まれています。お酒を飲まない人でも、甘党であれば甘いお菓子を食べていたりしますよね。もちろん、スイーツだって糖質たっぷりです。ついつい食べすぎたり飲みすぎたりする「魅力的な食べ物」の多くに、糖質がふんだんに含まれています。

糖質の取りすぎには、脳の認知能力を低めるリスクがあります。糖尿病になると、脳梗塞など脳のトラブルのリスクが高まるという話を聞いたことはないでしょうか? 糖質の取りすぎは、動脈硬化など血管の老化を進め、認知機能の低下をもたらします。しかもやっかいなことに、糖質の取りすぎが、さらなる高血糖状態のスパイラルを引き起こします。