RIZIN第1回大会の本当の評価

自分のなかの評価は最悪なのに、周りからの評価は高いというズレが起こることは、決して珍しいことではない。今でこそSNSの普及のおかげで、誰もが日々起きていることを情報として吸い上げやすくなっているが、熱が届くまでには時間がかかる。

榊原信行『負ける勇気を持って勝ちに行け! 雷神の言霊』(KADOKAWA)
榊原信行『負ける勇気を持って勝ちに行け! 雷神の言霊』(KADOKAWA)

2015年にRIZINの第1回大会を開催した時も、その日のうちに反響や評価がドカンとくるということにはならなかった。けれども、「こういうことが起きたらいいな」と思っていることをくさらずに続けていくことで、半年後、1年後にようやくマーケットが追いついてくるのだ。

例えばトレーラーをつくって1回配信することで、自分たちは告知したつもりでいるが、世の中には見過ごしている人ももちろんいる。だから、すでに一度アップしたものでも、しつこく2回、3回とアップすべきだと私は思っている。

反響や評価についても、それと似ているところがある。その時の評価が、RIZINのすべてであり、この先ずっと変わらないということでは必ずしもなくて、良い評価も悪い評価も少しの風向きで変わっていく。

ヒットコンテンツを生み出す秘訣

今のRIZINの人気は絶頂期にあるのか。それとも、まだ先にあるのか。あるいは、お客さんが今、何を求めているのかをつぶさに感じ取らなければならない。けれどもそこは、マグマの中心にいる私たちには、実はよく分からないというのが実際だ。それでも、何となくこうなるだろうな、ということを予見できる実績や経験は、少しずつながら積めているのではないかと思う。

これがウケるかどうか、そもそも情報が届いているのかどうかも、結局はコミュニケーションの受け手側の問題が関係してくる。私たちは届けるつもりで発信しているけれど、昔投げていたものが今になってようやく届いていることもある。

そこのスピード感や、熱量が伝わるまでのタイムラグを、これまでの経験や感覚を頼りに、うまくつかみ取っていくことが、常にヒットコンテンツを生み出すための秘訣ひけつだ。加えて、少しずつみんなのことをいい意味で裏切りながら、コンテンツをつくっていけるかどうかがカギを握っている。

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