2012年9月21日(金)

日韓通貨スワップ協定、本当に破棄したらどうなる?

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PRESIDENT 2012年10月1日号

著者
岩本 沙弓 いわもと・さゆみ
金融コンサルタント・大阪経済大学経営学部客員教授

青山学院大学大学院国際政治経済学科修士課程修了。日米加豪の金融機関にてトレーディング業務。金融専門誌「ユーロマネー」誌アンケートで為替予測部門の優秀ディーラーに選出される。著書に『アメリカは日本の消費税を許さない』ほか多数。

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金融コンサルタント・大阪経済大学経営学部客員教授 岩本沙弓 写真=PANA
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米国の目論見に沿った展開

通貨交換の限度額拡大で合意した昨年10月の日韓首脳会談。現在のような展開が待っていようとは……。(写真=PANA)

「国境近辺のいさかいなど日常茶飯事。ロシア戦闘機の領空侵犯に対して日に5回もスクランブル発進していた」というのは元自衛官だったディーラー時代の同僚の談である。こうした情報は一般国民には漏れ聞こえるところではなかったはずだが、係争地域でのいざこざが広く国民に知らされるようになったのはなぜか。

日米同盟と同様、韓国にも韓米同盟がある。いくら李明博大統領が退陣後の自己保身のために国内世論を味方に付けようと一連の行動を起こしたとしても、米国の意思を無視するわけにはいかない。

日米関係を占うアーミテージ・ナイの第三次報告書が先日公表された。日本の防衛責任については、新しい役割と任務を拡大する方向での見直しを求める一節がある。財政難の米国は米軍駐留費にも難儀しており、中露勢力の抑制には日本の自主防衛強化に期待するしかない。

極東の領土問題が紛糾しても、無関心を装う米国。となれば日本国民の国威を発揚させるにはうってつけの材料となる。米国の目論見に沿った展開である。日韓の緊張による通貨外交の懸念などは前置きにすぎず、振り上げた拳の下ろしどころを測りかねている韓国政府には、日韓金融協定の見直し発言をするだけで十分である。その先には憲法第九条や専守防衛の再考など重大かつ難渋する課題の解決を迫られている。

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