最終的に合葬される樹木葬がいちばん安心を得られる

この樹木葬の多くが、「永代供養」の形態をとる。永代供養とは「イエ」単位で墓を継承していく従来型の区画墓(一般墓)とは異なり、「個人」を対象として墓地管理者が供養してくれるタイプの墓のことだ。永代供養の定義はさまざまだが、基本は、遺族に代わりに寺院や霊園が遺骨を管理したり供養したりする埋葬法だ。

この永代供養の中でも、需要を集めているのが「当初は骨壷(や、納骨袋)で納骨するが、一定期間が訪れたら合祀ごうし(複数の遺骨をまとめて埋葬)される期限付きの墓」だ。永代供養の期限は、埋葬されてから13年間(十三回忌を節目とする)や33年間(同三十三回忌)が多い。「永久に」供養されるタイプのものは、どちらかといえば少数である。

先の伊藤氏は、樹木葬のトレンドの本質は、この「永代供養」にあると分析する。「おひとり様」や、イエで墓を護持していくことを望まない人にとって、最終的に合葬される樹木葬は、安心を得られる埋葬法だからだ。

「現在、生前のお墓の購入比率は2割ほどで、この割合は高まっていくとみています。対して、先祖代々の墓を継承していく従来型の家墓は徐々に減っていくでしょう。近年、巻き起こっている終活は、自分の意思で自分の墓(永代供養墓)を決めるということ。こうした動きは、首都圏から地方へと順に広がりをみせています。その中心にいるのは女性です。樹木葬という、言葉やイメージから入る印象がポジティブだから、終活に意欲をみせる女性たちに受けているということなのかもしれません」(伊藤氏)

ここで樹木葬の歴史を簡単に振り返ってみよう。