ギアを1つ2つ下げた時が危険

とくに、仕事に前のめり気味の頑張り屋さんは要注意。入社したばかりの頃は「就職ハイ」と呼ばれる心理状態に陥りやすい。良い成績を残し、誰よりも早く出世してやる。こういった素晴らしい精神を持つ若手社員は、十中八九、理想と現実の狭間で苦しむことになる。

どんなに頑張って結果を出したところで給与は急激には増えない。休みも増えない。それなのに仕事量と責任だけは増えていく……。これ、一生懸命働くよりも手を抜いたほうが自分にとって得なんじゃないか? このように思い始め、ギアを1つ2つ下げた時が危険なのだ。前述した通り、期待からの失望は心理的負荷が大きい。このタイミングで自主退職を選ぶ人も多いだろうし、私のように会社に目をつけられる運の悪い人も多いのではないか。

なお、世間では「怒られているうちが華」といった企業側を正当化する価値観が根強いが、そんな人間が花咲かせているのを見たことがない。私が知る限り、若手社員は退職するまでずっとグチグチ&ネチネチ言われ続ける。働かないオジサンは社内で認められても、働かないワカモノの存在は認められない。嘆かわしいことだが、これが現実だ。

「勧奨」と「強要」の違いは何か

企業から労働者へ「退職したらどうですか」と提案すること自体は何の問題もない。ただし、退職強要は違法行為として扱われる。違いは「脅し」の要素があるかどうか。

机を叩きながら退職を迫る、懲戒解雇をチラつかせる、長時間拘束して退職を迫る、ストーカーのように連日にわたって退職を迫る……など、「脅し」の要素が多ければ多いほど、退職勧奨ではなく退職強要と認定される危険性が高まる。会社を守る側の視点に立つと、解雇はリスクが高いため自主退職を促すことが合理的な判断だが、くれぐれも肩叩きはソフトにがコツだ。

逆に、会社を攻める側の視点に立つと「守り勝つ」のが弱者の戦い方として有効である。あくまで退職勧奨とは「退職したらどうですか」という企業側の提案。それ以上でも以下でもない。その提案を労働者が断った以上、しつこく退職を迫る行為は「脅し」と見なされる。よって退職勧奨では「どんなに退職を迫られても粘り強く在職の意志を示し続ける」ことがポイントになる。