竹内 健(たけうち・けん)
1967年、東京都生まれ。東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻修士課程修了後、東芝入社。2003年、スタンフォード大学ビジネススクール経営学修士課程修了。07年、東芝を退社し、東京大学大学院工学系研究科准教授。12年4月より、中央大学理工学部教授。

東芝で、20年前はお荷物事業だったフラッシュメモリの開発に携わり、MBAを取得。製品開発のプロジェクトマネジメントや企業間交渉、マーケティングの経験を積んできたエンジニアの本だ。

この2012年2月、半導体大手のエルピーダメモリが経営破綻した際は、倒産の理由をツイッターで発信、発言をまとめたウェブサービスのページへのアクセスは10万を超えた。

「エルピーダの倒産はマーケティングの失敗が原因です。他社がフラッシュメモリだけではもう危ないから、次の技術へいこうといっているときに、フラッシュより一世代前のDRAMにまだ開発費を投資していた。過剰品質で負けたとする新聞報道もありますが、それは違う」

本書も、半導体ビジネスと最先端ITの現実を知るための本として読むこともできる。

「いまは変化のスピードが凄まじく速くなっていますから、エルピーダに起こったようなことは、これからはどこの業界でも起こりうると思います」

もちろんビジネスパーソンにとっては、仕事術とのタイトルにあるとおり、キャリアの積み方へのヒントがぎっしりだ。

「MBAを取ると、経営コンサルに転身したり、投資銀行へいく人が多い。でも技術がわかる金融屋になるより、東芝で金融や経営がわかる技術屋になるほうを選びました。人がやっていないことをやらないと、これからは企業内ですら残っていくことはできない。そのためには常に、かつ相対的に自分が本当に勝てるものは何かと考えること。そのうえで僕の場合、本当に転機と思うときは、社会で発信している人に聞きにいきました。本でしか知らない著名人でも、案外会ってくれます」

アートが好きで、とくに建築作品には興味をもっている。

「半導体でも、美しくない回路レイアウトだと不良していることが多い。僕は若いときに経験できましたが、こればかりは言語化が難しい。結局は、失敗の経験をいくつもつことができるかではないかと思います」