熱血過ぎるコーチは子供がプレーしているということを忘れている

マーヴィンはためらっていましたが、両親はコーチと話してみることにします。ですが、その話し合いはうまくいきませんでした。

マーヴィンがゴルフをやめると言い出したのは、コーチからひどく怒られてばかりだと感じているからだと両親が言うと、コーチは怒り出します。

マーヴィンがチームのために真面目にやらず、プレーも未熟で、しかもゴルフのこともトレーニングのレベルも引き上げなければいけないといった事情が、両親にはまるでわかっていないというのです。

両親はコーチの否定的な考え方にショックを受け、戸惑いを覚えながらその場をあとにします。そして、本人のやめるという決断を後押ししようと考えます。

結果へのこだわりが強いコーチのもとでプレーする場合、子供は直感的に親に不満をぶつけてはいけないのだと思ってしまうことがあります。

マーヴィンのように青年期に差し掛かった時期は、上達することに一生懸命で、さらにプレッシャーに打ち勝てるほど自分は強い人間なのだと自分にも周囲にも証明したいと考えます。

コーチから絶えずプレッシャーをかけられるのは、自分が目をかけられていて、上達のために力を入れてもらっている証拠だと考える選手もいます。

マーヴィンのコーチのように指導が厳しいとしても、それが悪意によるものということはめったにありません。

そういったコーチはむしろ熱心すぎて、視野が狭くなってしまいます。競技に熱くなるあまり、大人ではなく、子供がプレーしているということをつい忘れてしまうのです。

燃え尽き症候群の兆候

燃え尽き症候群には必ず兆候があります。どんな兆候があり得るのか知っておくことで、早めに気づく手立てになります。

燃え尽き症候群の兆候
1.疲労感が増している。あるいは、疲れがなかなか取れない。
2.イライラしたり、無気力になったりすることが増えている。
3.医学的な原因とは明らかに関係のない、身体の不調やケガに見舞われることが増えている。
4.練習にも試合にも、やめたいと言い出すことにも、激しい迷いが生じて、そこからなかなか抜け出せない。
5.練習を休んだり、試合を欠場したりすることが増えている。
6.原因不明の不振に陥っている。
7.自信がなくなっている。
8.ひどい態度をとったり、やる気をなくしたり、競技を続けていくのが困難になることをやってしまう。
9.競技ばかりに追われて、その年頃ならできて当たり前のこと(友達付き合いなど)ができなくなっている(特に青年期)。
10.子供のアスリートとしてのキャリアのために、両親が無茶な犠牲を払って抜け出せずにいる(子供の選手としての将来性をもとに、人生の重大な選択や家族の決断が左右されている)
※出典:J・コークリー著『Sociology of Sport Journal』1992年9月号 P.271~285“Burnout Among Adolescent Athletes: A Personal Failure or Social Problem?”