「ブルガリホテル東京」のツイン最低価格は1泊1室30万円台

さらに上を行くのがインバウンドです。彼によれば、きちんとした設備、ホスピタリティ、食事環境を整備すれば、1泊100万円でも問題なく支払ってくれるというのです。

同じように高級ホテルを運営してきた友人にこの話をぶつけたところ、

「私の感覚では、5・20・60かもしれないけれど、彼の言っている話はよくわかる」

と言っていましたから、現場にいる人の感覚として、この3つのハードルはかなり意識されているようです。

実際、2023年4月に東京・八重洲に開業した、世界で8番目のブルガリの名前を冠する高級ホテル「ブルガリホテル東京」はダイナミックプライシング(需要と供給の状況に応じて宿泊価格を変動させる制度)を採用していますが、ツインルームの最低価格は1泊1室30万円台、しかもスイートルームから予約が埋まっているといわれています。ほんの10年前には、東京だけでなく世界の先進都市にある外資系ホテルのツインルームの標準は500ドルといわれていましたから、あっという間に5倍になったわけです。

東京ではラグジュアリーホテルが次々開業予定

ブルガリホテル東京は、新しくできた超高層ビル「東京ミッドタウン八重洲」の40~45階を占め、イタリアの高級家具ブランドの家具を備えた客室や、ミシュラン3つ星を獲得した「鮨 行天」監修の寿司カウンター、1000m2の広さで究極のウェルビーイング体験を楽しめる「ブルガリ スパ」などの設備を誇ります。ご祝儀価格と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、2017年に開業した「アマン京都」は、いまでもハイシーズンは1室50万円以上です。

東京ミッドタウン八重洲 八重洲セントラルタワー。丸ビルより
東京ミッドタウン八重洲 八重洲セントラルタワー。丸ビルより(写真=Sakura Torch/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

さらに2023年には東京・港区の麻布台にできる「麻布台ヒルズ」の中にホテル「ジャヌ東京」ができる予定です。ジャヌは、ラグジュアリーホテルのパイオニア、アマンの姉妹ブランドで世界各地で進行中のプロジェクトの中でトップを切っての開業。

客室数は122室。55m2のデラックスルームから284m2のザ・ジャヌスイートまであり、食においては、イタリアン、和食、中華など7つのレストラン&バーがオープン。25mの温水プールやスパなどから成るウェルネス施設の面積は約4000m2で、東京のラグジュアリーホテルで最大級を誇る予定ですから、さらに上位の価格帯になるかもしれません。また、その先には、東京駅前にできる日本一の高さのトーチタワー上階にウルトララグジュアリーホテル「Dorchester Collection」が2028年に開業することが決まっています。