70代からの「勉強」とは

そうだとすれば、人生勉強とは、さまざまな可能性を求める行為になってきます。「こういう可能性もある」「そうはならない可能性もある」と考えながらいくつもの答えを探していく、それが本当の勉強なのではないかと思うようになりました。

自分がいま「確かだ」と持っている答えも、本当は正しくないかもしれません。

世の中にはときどき、一方的に自分の考えを押しつけてくる人がいます。そういう人に対して、私はこう反論することにしています。

「でも、その説が絶対正しいという根拠はありませんよね」
「その答えは、ずっと先々まで正しいと思っていられますか?」

そう言えば、たいていの人は、「まあ、それはそうですけど……」とおとなしくなります。

学ぶ楽しさに終わりはない

ただ1つの答えを見つけるのでなく、いくつもの答えを考えられるようになるのが、本当の勉強です。いろいろな可能性を探っていくのが勉強だとわかれば、学びに終わりはなくなります。

答えが1つ見つかっても、「それだけだろうか」「ほかにも可能性はあるんじゃないか」と考えれば、まだまだ勉強は続きます。

勉強と聞くと、高齢の方は「もういいや」と敬遠しがちです。「難しいことはもう頭に入ってこない」「いまさら勉強したって目指すものがない」と考えてしまいます。でも、本当にそうでしょうか?

70代でも80代でも、テーマを決めて勉強に取り組んでいる方はたくさんいます。みなさん、元気で輝いています。たとえば、地域の図書館や公共の施設ではさまざまな分野の学習会が開かれて、年代を問わず学んでいる人が大勢います。