1日10~15分の音読で記憶力20%UP

黙読するだけでも、脳の広範囲が働いていることがわかりますが、これが音読になると、働く範囲がさらに広く、強く活性化することがわかっています。

中でも特に強く反応するのが、「頭の良し悪しを握るカギ」である前頭前野です。

脳全体の血流が高まり、活性化した状態にできるのですから、脳の「準備体操」として音読は最適であるといえるでしょう。実際に、1日10~15分の音読を行うと記憶力が20%アップするという研究もあります。

小さなお子さんが自分で文字を読めるようになると、声に出して絵本を読んでいる姿をよく目にしますね。実は、あれが非常によい前頭前野のトレーニングになっているのです。

読書は脳の構造自体を変化させる

学童期になったら勉強の前に教科書を音読する。あるいは、ちょっと難しい文章を理解したいときには意識的に声に出して読むことをおすすめします。記憶力や理解力がアップして、学習効果を高めることが期待できます。

とはいえ、なんでもかんでも音読をするのは、あまり現実的ではありません。当然ながら、純粋に読書を楽しむときには静かに黙読するのが通常です。こうした普通の読書であっても、子どもの脳にとてもよい影響のあることが科学的に明らかになっています。

私の研究では、読書習慣がある子どもたちの脳画像や言語発達に関するデータを分析したところ、言語発達や脳の構造に次のような影響を与えることがわかりました。

脳の神経細胞同士をつなぐ神経線維である「弓状束きゅうじょうそく」は、言葉との関係が深いといわれていますが、読書習慣のある子どもは、その構造がよりよく発達していることが確認できたのです。

読書は脳の構造自体を変化させる。その事実に、脳の専門家である私たちでさえも大きな衝撃を受けました。