今でも「ZEROBASEONE(ゼロベースワン)」や「Girls Planet 999」発のグループなどが生まれるたびにSNSで大きな話題になりますが、日本のアイドル・芸能人が韓国で話題になることはまれです。

もはやZ世代にとって「カワイイ」は日本にはなく、お隣の韓国にある。「カワイイ」を求める日本のZ世代が「韓国化」するのは当然でしょう。若者は政治離れ・ニュース離れが加速していることもあり、政治情勢に関係なく「韓国化」が進んできたと言えます。

夜の明洞
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リアルタイムで何でも網羅的なトレンド

日本の韓流ブームは、これまで5回起きていると言われます。

第1次韓流ブームは、2000年代初頭の「冬ソナ」ブーム。2010年代前半になると、東方神起やKARAなどのK-POP人気が第2次ブームを起こしました。第3次は、SNSの台頭を追い風に2010年代後半に起きた、K-POPアイドル風「オルチャンメイク」や韓国グルメのブーム。コロナ禍と前後した第4次ブームでは、『パラサイト 半地下の家族』「イカゲーム」「愛の不時着」などの韓国映画・ドラマが大ヒット、BTSやBLACKPINKを筆頭とするK-POPアイドルも、日本と世界を席巻しました。

そして現在起きているのが、“第5次韓流ブーム”と言われています。第1次~第4次の韓流ブームは、K-POP・コスメ・ファッション・ドラマ・グルメという5つの主要なジャンルのコンテンツが、少数のインフルエンサーたちのフィルターを通したうえで、時間差をおいて日本に伝わる流れが基本でした。

しかし、最新のトレンドは、SNSの浸透で誰もが発信することが可能になった今、何でもアリの全網羅型になっていると感じます。ジャンルの幅が広がって、性格診断や広告まで流行してしまうのです。

ブームではなくスタンダードになっている

僕が仰天したのは、カルディが発売した「韓国レトロ皿セット」が飛ぶように売れたこと。これは、1980~90年代に韓国の軽食屋や屋台で使用されていたものを再現したメラミン食器3点と、プルコギのタレのセット(1300円)です。今年の2月に数量限定で販売され、瞬く間に完売となりました。

マーブル模様の入ったヨモギ色の食器はどちらかといえば渋いテイストだと思うのですが……売り切れで買えなかったと嘆く大学生は「今の日本の女子はみんな韓流ファン。これぐらいズラさないと“ガチ韓国好き”をアピールできなくなっている」と話していました。“にわかファン”と差別化を図るために、韓国のレトログッズまで売れる現象が起きているのです。

韓国でのトレンドがタイムラグなく日本へ紹介されることも当たり前。さらには、韓国のレトロまでもが人気になるのは、これまでになかった現象です。

僕は「韓流は一過性のブーム」とは考えていません。韓流ブームは第2次から裾野を広げながら継続して今に至っていると考えています。日本の若者にとって、韓国はもはやブームやトレンドではなく「スタンダード」なのです。それが日本のZ世代の「韓国化」という現象になって現れているのだと思います。