「我慢が足りない」「些細な失敗でくじけやすい」若手社員が急増しているという。「打たれ弱い」社員とどう向き合っていけばいいのかを探った。

ネガティブ思考の人ほど打たれ弱い

ちょっと厳しく叱っただけなのに、次の日からその部下が会社に来なくなった――。極端な例だが、多くの企業で起きている。その理由として、「20~30代を中心に、我慢が足りない、葛藤場面に弱い、些細な失敗でくじけやすいといった『打たれ弱い』人が増えているからです」とメディカルケア虎ノ門の五十嵐良雄院長は分析する。

打たれ弱い若者が増えている理由はいくつか考えられる。例えば、社会人になるまでに人間関係の訓練ができていないこと。気の合う友人同士のつきあいといった横の関係は濃密なものの、縦の関係の経験が不足している。そのため、会社勤めでは当たり前である上司と部下といった上下関係によるプレッシャーに耐えられず心が折れてしまう。

部下が、打たれ弱いかどうかを見分けるポイントは何か。企業にEAP(従業員支援プログラム)を提供するアドバンテッジリスクマネジメントの執行役員研究開発担当エグゼクティブカウンセラーの奈良元壽氏によれば、ネガティブ思考に陥りやすい人や悲観的思考が強い人ほど打たれ弱いという。

さらに「最近の研究では、自分自身と自分の思考や感情との距離感がうまく取れていない人も、打たれ弱いことがわかっている」(奈良氏)。つまり、観察者の立場で自分の思考や感情を捉えられればそれらに振り回されないが、一体化してしまうと些細なことにも大げさな行動を起こしてしまうという。

また、過去や未来の出来事が優位になり、現在のことに集中できない人も打たれ弱いことがわかっているという。過去の失敗や未来の不安に捉われ、少しのミスにも動揺してしまう。

では、こうした打たれ弱い部下を持つ上司は、どのように彼らと接したらよいのだろうか。

「まずは、褒めること。いいところを見つけて褒めることで、相手の不安や緊張感を取り除いてあげることが必要です」と五十嵐氏は話す。

メンタルヘルスに特化したコンサルティングを行うメンタルグロウの相場聖社長は、「打たれ弱い部下の褒め方には2つのポイントがある」という。

一つは、具体的に褒めること。どの仕事のどの部分がよかったのか、どの辺が評価に値するのかなどをきちんと伝えることが大事だという。

もう一つは、当たり前のことでも、きちんとこなしていることに関して褒めること。打たれ弱い部下の場合、自信をつけさせていくことが重要で、「自分自身が意識していない、当たり前にできていることも、評価を言葉で伝えてあげることが本人の自信につながる」(相場氏)。

褒めるだけでは、人は成長しない。「言うべきことはしっかり言うことが必要」(五十嵐氏)であり、時には叱ることも大事だ。相場氏によれば、打たれ弱い人を叱る際、その人自身の人間性を否定するような言い方ではなく、事実を伝えていくことが大切だという。そのうえで「これからどうすればいいのか」「同じ失敗を繰り返さないようにするためにはどうすればいいのか」を自分で考えさせていくことが必要となる。

また、「私は、君が○○してくれたら、とてもありがたい」というように、肯定的な依頼をすることが重要だと奈良氏は指摘する。そして失敗の対策は短期的かつ改善しやすいものにする必要があるという。例えば、よく遅刻する部下に対して「おまえはだらしがないだめなやつだ」と怒るのではなく、「遅刻はよくない。これからは、いつもより10分早く起きてみなさい」と、達成しやすい改善目標を指摘する。さらに「直面した困難さや辛さから逃げ出さず、部下と一緒にしみじみと味わい、自分の感情をコントロールさせることも重要です」(奈良氏)と付け加える。