<ウクライナの反転攻勢に備えてロシアがクリミア半島の防御を固めるなか、謎の爆発事件が多発して緊張が高まっている:イザベル・ファン・ブリューゲン>
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写真=iStock.com/Main_sail
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黒海につきだしたクリミア半島の南東部で謎の爆発が発生し、住民の死亡が確認された。地元メディアが報じた。

国内の治安に関する情報を定期的に配信しているロシアのテレグラム・チャンネル「バザ」は24日、クリミアの都市アルシュタで45歳の住民が、海岸近くで爆発物によって吹き飛ばされ、死亡したことを伝えた。

ウクライナによる反攻に備えるため、ロシア軍は2014年にウラジーミル・プーチン大統領が一方的にロシアに併合したクリミア半島の防衛を強化している。

クリミアの海岸は、ロシア軍が塹壕を掘って新たな防御態勢を整えているために、遊泳禁止になっているという。また、ロシア軍が半島全域に地雷を埋めているという報告もある。

アルシュタで爆発音が轟いたのは23日の夜だった。現場に到着した捜査官は、海から15メートルほど離れた場所で45歳の人物の遺体を発見した。

「死因は未確認の物体の爆発による」と、バザは報じた。

黒海艦隊にドローン攻撃

ロシアの国営メディアRIAノボスチは24日、民間人がアルシュタとスダクの両都市の間で「弾薬によって吹き飛ばされ」、死亡したことを報じた。

ノボスチは、救急隊の話として、爆発物は第二次世界大戦当時に使われていたものである可能性が高いと伝えている。

ロシア当局は、この事件に関してまだ何も発表していない。本誌はロシア外務省に電子メールで連絡を取り、コメントを求めている。

クリミアの一部では、プーチンの本格的なウクライナ侵攻開始から数週間後の2022年4月11日以来、テロの脅威レベルが高度警戒体制を示す「黄色」になっている。ロシア軍は、ウクライナの反攻を懸念してこの地域の守備を固めているが、半島における爆発の報告は増えている。

24日未明には、クリミア南西部の都市セバストポリも爆発で揺れた。ロシアが任命したミハイル・ラズボジャエフ知事は、海洋ドローン2機がロシアの黒海艦隊に攻撃を仕掛けたが撃退した、と自身のテレグラム・チャンネルで伝えた。

ウクライナはドローン攻撃を行ったことを認めていない。