海外のように相続税を廃止すれば、問題は解決

いまや多くの国で相続税は廃止されている。カナダとオーストラリアは1970年代に廃止。1992年にニュージーランドが続き、高福祉高負担で知られるスウェーデンも2004年に相続税を廃止した。また、イタリア、インド、中国、タイ、マレーシア、インドネシアなどは、そもそも相続税がない。

相続税があり、それが高率だということは、世代を超えて富が蓄積されないということを意味する。美智子上皇后の実家の正田邸は、相続税のために物納されて解体されてしまった。街の景観まで変わってしまうのだ。

相続税は、結局、国家にだけ富が集中し、民間は疲弊するという税金である。

もし、相続税がなければ、日本が直面している多くの問題は解決する可能性がある。たとえば、現在多くの中小企業が悩んでいる「事業継承」がスムーズに行えるようになる。また、解体が進む家族もその絆が深まることで元に戻る。さらに、少子化や老老介護などの問題も解決に向かうかもしれない。

税金の支払い手がいなくなる未来

2022年に生まれた赤ちゃんの数(出生数)が、前年比5.1%減の79万9728人で、1899年の統計開始後初めて80万人を下回ったことが、各方面に衝撃を与えた。

この少子化のペースは、政府機関の推計より10年ほど早い。この傾向が続けば、年金をはじめとする社会保障制度や国家財政は予想以上に逼迫する。

出生数の下落率は、2015年までの10年間は毎年平均1%ほどだったが、2016年以降は3%超に加速化した。出生数が100万人を割ったのは2016年だが、それからわずか6年で2割減の80万人を下回ってしまった。

こうなると、生産年齢人口も加速度的に減少する。それは、税金を払う納税者が加速度的に減少することを意味する。[図表3]は、1950年を起点とした日本の人口の推移で、2022年より先は推計だが、この推計はいまや成り立たなくなった。推計より速いスピードで少子化が進んでいるからだ。

日本の人口の推移(1950~2060)
出所=『日本経済の壁

このグラフを眺めて、日本の将来を想像すると、絶望的になる。