統一地方選や衆院補選で日本維新の会が新たな議席を獲得し、さまざまなメディアが「維新躍進」と報じている。ジャーナリストの尾中香尚里さんは「『次の衆院選で野党第1党か』などと報じられているが、メディアが先行し過ぎている。地盤の関西では議席を取り尽くしており、今後の伸び悩みは避けられない」という――。
記者会見する日本維新の会の馬場伸幸代表=2023年4月24日午後、東京・永田町の衆院議員会館
写真=時事通信フォト
記者会見する日本維新の会の馬場伸幸代表=2023年4月24日午後、東京・永田町の衆院議員会館

「次の衆院選で野党第1党か」との報道も

またまたメディアの「維新祭り」が始まったようだ。4月の統一地方選と衆参の補欠選挙。野党第2党・日本維新の会が議席を伸ばしたことに、やや前のめりに盛り上がっているのだ。「次の衆院選で野党第1党か」。そんな書きぶりが目立っている。

確かに維新は、各地で勝った。前半戦(9日投開票)では奈良県知事選で、後半戦(23日投開票)では衆院和歌山1区補選で、自民党が推す候補を破り当選。各種の議員選挙でも健闘し、目標としていた「地方議員600人」を実現させた。

しかし、メディアの報道はあまりに浮ついている。半世紀以上も自民党の「ほぼ一党支配」が続いてきたこの国で、自民党に代わる政権の選択肢を、短期間に自力で作り上げるのは容易ではない。

維新の勢いは「天井」を迎えるだろう

小選挙区制が導入されて以降30年、「政権交代可能な野党第1党」づくりがどれだけ難しかったかを、散々見てきた。ちょっと風が吹けば(吹いてもいないのに)そんな政党が簡単にできるかのような見立ては、当の維新を含め、政界全体に失礼だろう。

確かに維新は、ここまでまずまず順調に支持を広げてきた。だが、今後を考えると、もうそろそろ「伸び切った」状態になるのではないか、と筆者は見ている。維新が「単独の政党として党勢拡大を目指す」以上、これ以上の大幅な伸びを短期間で実現するのは、かなり難しくなりつつある、ということだ。過大評価は禁物である。