ガイドラインに沿った、医師の責任逃れではないか

実際、糖尿病に関していえば、入院させるとすぐに改善し、退院して家に帰すとまたすぐに数値が悪くなる、といったループを繰り返す患者さんが少なくありません。

そのような患者さんには、日頃の食生活の管理が何よりも効果を発揮するはずで、だからこそ、家での暮らしぶりをきちんと把握することが治療のうえでは重要なのであり、そのための往診なのです。

自宅の居間で訪問医の診察を受けるシニア男性
写真=iStock.com/kokouu
※写真はイメージです

まして認知症の患者さんであれば、自分が何に困難を抱えているのか、どんな暮らしぶりをしているのかなど、言葉で的確に説明するのが難しい場合もあります。

和田秀樹『70歳からは大学病院に行ってはいけない』(宝島社新書)
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いくらガイドラインだからといって、一日4回の注射や、一日3回の飲み薬などを処方したところで、きちんと用法用量が守れていなければどうしようもありません。認知症の患者さんの困難を知るには往診が一番なのです。

ですが、往診が面倒だと考えるような医師は、『今日の治療指針』のガイドラインに沿った治療さえしていれば、少なくとも自分の責任を追及されることはないのだから、実際にそれが功を奏しようが奏しなかろうが知ったことではないということでしょうか。

ぜひ、そんな医師をかかりつけ医に持つことのないよう、しっかりと見極めてください。

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