2003年に創業したカレーチェーン「ゴーゴーカレー」は、業界の異端児として急成長し、現在の店舗数は業界2位になっている。いかにして店舗を増やしたのか。創業者の宮森宏和さんの著書『カレーは世界を元気にします』(光文社)より紹介する――。
ゴーゴーカレーの店舗
写真提供=ゴーゴーカレー

飲食業界に来る大学生は決して優秀ではない

ヤル気のある社員をどうやって集めるか。パンデミックの前から、スカウティングは飲食業界の大きな課題となっています。勤務時間が長い、仕事がキツい、さらには給料が安いといったイメージが強いこともあって、なかなか人が集まらなくなっているのです。

たとえば成績優秀な大学生は、飲食業界にはほとんど興味を示してくれません。一流企業からいくつも内定をもらい、夏休みに入る前には就活が終わっている。そして海外旅行に出かけたり、研究に没頭したりと好きなことをして最後の学生生活を満喫する。もちろん、飲食業界に就職する大学生はいます。

しかし、就活で苦戦して夏休み以降も内定先を決められなかった人が流れてきて、飲食業界の門を叩くケースが多いのです。

こうした現実があるので、ゴーゴーカレーでは大卒というブランドをほとんど重視していません。日本はまだ大卒信仰が根強いところがありますが、そもそも大学に進学する若者は、昔と違って珍しくありません。その中で優秀な学生に来てもらえないことを考えたら、大卒にこだわる意味はほとんどないわけです。

ゴーゴーカレーに人事部はない

学歴よりもヤル気と元気を重視するゴーゴーカレーには、日本の会社には珍しく人事部がありません。その話をすると、多くの人から「では、誰が採用を行うのですか?」と訊ねられます。

昨今は採用を外部に委託する会社も少なくないようですが、ゴーゴーでは、社員やスタッフみんながスカウトマンとなり、「この人と一緒に働きたい」「この人なら絶対に活躍できる」という人に声かけしているのです。

こうなると必然的に、ヤル気も元気もある前向きな人が集まるようになります。人事部が採用を担当しても、入社する人たちが人事部の人たちと一緒に働くわけではありません。そこがまず大きなポイント。

そして、面接では限られた時間でしかその人を見ることができませんが、ウチのシステムでは社員が友人や知人を推薦するため、長くその人と付き合っていることで人柄などを見誤ることが少ないのです。

そもそも、いい加減な人を採用すると、苦労するのは自分たちなのです。だから、「これは!」という人だけに声をかけることになる。実際に社員やスタッフが連れてきてくれた人の多くが、早く職場になじみ、長く働いてくれています。

人事部にお任せではなく、1人1人が当事者となって一緒に働く仲間をつくる。ゴーゴーカレーではそうやってチームづくりをしているのです。