「やろうとしないから、困難なのだ」

しかし、ある日ふと疑問に感じたのです。

「私は自分のことを悲劇のヒロインのように思っているけれど、このままで本当にいいの?」と。

そしてこの苦しい状況からなんとか抜け出したい、現状を変えたい、変える方法はないだろうか、そう本気で考えました。

そんなとき、書籍のなかに見つけた言葉が、私の胸に突き刺さりました。

「困難だから、やろうとしないのではない。やろうとしないから、困難なのだ」(『三週間続ければ一生が変わる』ロビン・シャーマ著・北澤和彦訳・海竜社)

そうか。私は、勉強したい、向上したいと思いながら、それができないことを環境や子どもの体調のせいにしている。そしてそんな自分を、忙しいから仕方ない、と心のどこかで許している。このままではいけない。

それがすとんと自分の腹のなかに落ちたとき、カチッ! と音を立てて、私のなかのスイッチが切り替わったのです。

留学を実現させよう!

鬱々とした思いを着火剤にする

産婦人科医としての仕事をしながら受験勉強をして、2人の子どもを連れてアメリカへ留学したというと、「どうやって?」と聞かれることが多いのですが、すべての出発点はここにあります。

時間がなかったからこそ、できた――。

今思うと、産婦人科医としての仕事があり、子育ても家事もやらなければいけないという、時間の制約が常にあり、抱えている「大荷物」がたくさんあって、身動きのとれない状況だったからこそ、強く「やりたい!」という気持ちが湧いてきたのでしょう。

簡単にはできない状況だったからこそ、ますます「やりたい」「こうなりたい」という思いは強く大きくなったのです。

さらに仕事も子育ても思うように進まず、飢餓感や焦燥感にかられていたからこそ、かえってそれが燃料となり「なんとしてでも成長しよう、この現状を変えよう」という気持ちになったのです。

もし一日24時間すべてが自分の時間となり、「自由に使っていいよ」といわれていたら、短期間であそこまで大量の勉強はできなかったかもしれません。

子どもたちが成長し、朝からひとりでゆっくりコーヒーを飲めるような状態だったら、あそこまで燃えなかったでしょう。

吉田穂波『「時間がない」から、なんでもできる!』(サンマーク出版)
吉田穂波『「時間がない」から、なんでもできる!』(サンマーク出版)

毎日仕事にてんてこ舞い、育児や家事でまったく時間がない……、そんな「目が回るほど時間がなく忙しい」というとき、実はそれこそが、ステージアップのチャンスです。

「やりたい!」というエネルギーがもっとも湧き、そして「うまくいかない」というがんじがらめの状況への鬱々とした思いが着火剤となって、そのエネルギーに火を注いでくれる、絶好の機会です。

だから、仮に仕事や家事、育児で手一杯で自分の時間がまったくとれないとしても、落ち込む必要はないと思うのです。それはむしろ「チャンス」です。

時間がない、うまくいかないという「障壁」は、自分を次のステージへと導く扉そのもの。壁と思っていたものが、実は取っ手のついた「ドア」なのですから。

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