東大野球部員の「753の法則」

次に、同じく東大野球部員らからアンケートをとったところ、図表1のような法則を見つけました。これを、私は「753(しちごさん)の法則」と呼んで、さまざまな講演で子どもたちや先生方にお伝えしています。

1日24時間のうち、睡眠や食事、お風呂の時間などの生理的な時間の9時間を差し引いて、残り15時間をどう使うか――。

東大野球部員たちは、高校時代に、学校の授業と宿題などにやはり7時間、部活(メンテナンスやコンディションづくりなどの準備も含む)に5時間、それ以外のフリーの時間に3時間というような時間配分で、毎日を過ごしたと言います。塾に通っていた子どもたちもいますが、基本は授業と宿題に集中して臨むという時間割を組み立てていました。

時計
写真=iStock.com/matdesign24
※写真はイメージです

また、部活引退後に生じる「5時間」で塾に通ったかどうかという調査もしたところ、ほとんどの場合、自宅で家庭学習をしていたとも言います。現役時に自宅でコツコツやる習慣がついていたというのが、その理由でした。

練習試合で半日を要したり、日々の練習で疲れて、毎日同じような時間配分で過ごせたはずはないのですが、平均してこのような時間配分で、東大野球部員は高校生活を過ごしたという点で、参考にしてみてください。

なお、この数値は高校生を対象としたものなので、小中学生のお子さんの場合は、生理的な時間が9時間ではなくて12時間くらいが目安でしょうか。勉強6、部活や習い事に3、フリーの時間が3という配分になるかと思います。

「753の法則」は、大人にも役立ちます。仕事に没頭できるのはせいぜい7時間。だらだらと残業をせずに自己研鑽の時間に費やすようにしたいものです。大人になっても親こそ勉強している姿を見せることが、“背中型マネジメント”となるでしょう。

部活を辞めてもほとんどの受験生の成績は上がらない

勉強時間を日々の生活から捻出するために、東大を目指さないとしても、「部活なんてしないで、勉強だけしておけばいいのでは?」と、親御さんも子どもたちも思うかもしれません。

「部活動のメリットはわかるけれども、いざ受験を目前にすると本当に両立できるのか?」という不安が頭をもたげることもあるでしょう。

「受験に専念したいから部活を辞めたい/辞めさせたい」。こういう話題は実際によくあります。

しかし、部活を辞めたところで9割の子どもたちの成績は上がりません。

高校3年生時点で部活動を辞めた子と続けた子では、続けた子のほうが東大に合格しているというデータもあります。部活を辞めて時間を確保したからといって、不思議と成績は伸びないものです。