食材を買った領収書の提出は不要

【泉】計算上ではそうだけど、実際にはそうはならんかなぁ。子ども食堂も1人でできるわけじゃないし、狭い田舎だから、それで金儲けしようって思ったらご近所さんの目が黙ってないですよ(笑)。特にうちの場合、子ども食堂をやるなら、近くの小学校でチラシ撒くんですよ。だから、コソコソできない。実際に子ども食堂をやり始めたら、誰が来るかわからないけど、地域の子なら絶対に受け入れなければいけないルールだから。

【ひろゆき】なるほど。仮に食べ物が腐ってたりしたら大炎上するわけですね。

【泉】そういうことが起きたらみんな報告するし、市民の目がチェックになっているわけです。一方で、市は、お金は出すけど運営はお任せします、というスタンス。例えば、食材を買うのでも、領収書などの提出は一切不要にしているんですよ。全国でも珍しいと思うけど、市民を信頼しているから、細かい部分はあまり介入しない。その代わり、ご近所さんがみんな見ているから悪さはできませんよ、と。仮に何らかのトラブルが起きたとしても、責任は行政がとるし、失敗してもいいから頑張ってみてくださいっていうのが明石市の特徴です。

全国で初めて養育費立て替え制度を導入

【ひろゆき】確かに、役所が自前で人件費使って運営するのに比べたら、断然コスパはいいですよね。

【泉】そうなんですよ。公務員の給料を考えたら、市民の皆さんにやってもらったほうがよっぽどコストがかからない。明石市の人口は30万人ですが、市役所の職員が30万人いるイメージですね。明石市では他にも、子どものために養育費が支払われない場合、市が一定金額を立て替える養育費立て替え制度なども行っています。

【ひろゆき】養育費の立て替えはフランスをはじめ、実は世界では結構普通にある制度です。日本では、明石市が全国初ですか?

【泉】明石市が全国初です。養育費が支払われないことで一番被害を被るのは、やっぱり子どもなんですよ。そこは家庭内の問題ではなく、行政が強く介入する必要があると感じています。そのあたりの施策で言うと、DV(家庭内暴力)対策として「配偶者暴力相談支援センター」を市で設けているんですが、現場で働くDV相談員の方は全国公募で集めて、より専門性の高い人に年収600万円から700万円で来てもらってます。

【ひろゆき】かなり高給ですね! そういう現場で働く人たちって、全国の基準だと大体年収200万円くらいじゃないですか。職員の質を上げるなら、700万まで吊り上げなくても、ちゃんとした人が来てくれる気がしますけど(笑)。

【泉】専門性の高い人には、それなりの待遇でしっかり働いてもらうべきだと思っていますから。