世界で日本だけの特徴

しかしなんでまた軽はスライドドアばかり売れるのか? それどころか実は、ノア&ヴォクシーのような箱型ミニバンやアルファードのような豪華ミニバンをはじめとし、登録車も冷静に見るとスライドドア付きが多いのです。

現状こんな先進国は日本しかありません。世界的にEVブームは起きても乗用スライドドアブームは起きておらず、もちろんVW・シャランやルノー・カングーのようなクルマはありますが、どちらかというと業務用。ファミリー用として使われるケースは少ない。

なぜスライドドアが好まれるのか

日本でスライドドアが好まれる理由ですが、まずは圧倒的利便性。特に狭い日本、乗り降りのラクさでしょう。

左右に開くとそれなりに重いスライドドアですが現状電動式ばかりでネガティブをほぼ感じないのと、ドアを外に広げずに済んで狭い駐車場はもちろん、狭い道でも乗り降りが楽。ドアをガードレールや他車にぶつけるドアパンチもほぼ防げます。

さらにドア開口部の広さは日本でジャパンタクシーに乗った人なら分かるはず。それまで狭い道でクラウンタクシーやコンフォートのドアを微妙に開けて乗り降りしていたのに比べ、開閉に時間はかかりますが、スライドドアのジャパンタクシーは超便利。人はもちろん荷物も足元に広くラクに載せられます。

またスライドドア化と同時に副産物的に生じたのが余裕の車内高です。小さい軽自動車でありながらほぼ1.4m。これは小学校低学年までなら立って着替えられる高さで、子供が濡れて帰って来た時にラクチンなのです。

さらにN-BOXですがこれが中に座ると本当に軽とは思えない。あるユーザーも言っていましたが「車内の広さは横幅ではなく高さで感じる」。これは本当で、変な話メルセデスベンツCクラスより開放感があるのはN-BOXです。

実際に最近の子供はメルセデスや昔のクラウンに乗ると「狭い」と言うそうです。ロフト付きのワンルームの方が、広く感じるようなものでしょうか。

日本の特殊な事情として世界に冠たる低速社会があります。街中では出して時速60km前後。欧州のドイツではアウトバーンの利用が身近であり、時速100km以上は当たり前。すると背が高いのは走行性能に響き、不安をもたらしますが、日本ではさほど恐さを感じません。