最大値と最小値がわかればより確かな姿が見えてくる

中央値がわかれば平均値との差が明らかになり、その数字がいわゆる真ん中あたりの数字と理解していいのかが推測できるのです。さらに、最大値(最小値)まで明らかにできれば、その推測はより確かなものになります。

深沢真太郎『数字にだまされない本』(日経ビジネス人文庫)
深沢真太郎『数字にだまされない本』(日経ビジネス人文庫)

A:最大値は1800、最小値は1
予想通り1800というかなり大きな数字があるために、平均値がだいぶ大きいものになってしまっていると考えられます。

B:最大値は430、最小値は305
この2つの数字から、Bというデータは大きさが近い数字で構成されていると容易に想像できます。平均値はいわゆる真ん中あたりの数字であり、Bの規模や分布を表す代表的な数字といっていいでしょう。

では最後にAとBをそれぞれ棒グラフにしたときの姿を想像してみてください。おそらく図表2とほぼ一致したものになっているはずです(※ちなみに私が実際に設定したデータはA:{1、4、9、11、1800}、B:{305、345、360、385、430}でした)。

【図表2】クイズのAとBを棒グラフで示すと
クイズのAとBを棒グラフで示すと(出所=『数字にだまされない本』)

このように、中央値や最大値(最小値)さえわかれば、おおよそのデータの姿を捉えることはできるのです。あなたがビジネスパーソンなら、平均値だけで物事を論じている人とコミュニケーションする際は2つの質問をしてみてください。

Q1「ちなみに中央値はいくらなのでしょうか?」
Q2「最大値と最小値はいくらでしょうか?」

相手が答えられない場合は、何か都合が悪いことがあるのかもしれません。同時に、「この人はなかなか鋭いな」とあなたに一目置くようになるでしょう。

・POINT
「平均値+2つの質問」でおおよそのデータの姿は捉えられる
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