「バイデン大統領の勝利を認めない」一点で団結

今の共和党支持者にとっては、妊娠中絶もモラルも、投票を左右するほどの大きな問題ではない。では彼らをつなぎ留めているのは、いったい何だろうか?

それはやはり、「2020年大統領選で不正があった」という一点に尽きる。

2021年1月6日、バイデン氏の大統領選当選を認める手続きでは、147人もの共和党議員がバイデン氏の当選を認めない反対票を投じた。トランプ支持者が議事堂に突入したあの日である。

平和な権力の移譲という民主主義の原則を破ってまで、議員たちの多くがトランプ氏の負けを認めなかった。建国の歴史始まって以来の異常事態が起きたのだ。

早朝の米国議会議事堂の東側
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この行為を正当化するために、共和党サイドでは、投票が不正だったことを証明しようとあらゆる努力がなされたが、何ひとつ証明できていない。そのためメディアはこれを「ビッグ・ライ(大嘘)」と呼んでいる。

「落選したら負けを認めるか」に衝撃の回答

つまり共和党議員の多くは、何の根拠もない「不正な選挙」を主張し続けていることになるが、議員がこれだから、支持者も当然それをよりどころとする。もっと極端に言うと、トランプ氏がどんなに追及されようと、ディープ・ステート(闇の組織)の陰謀のせいにしたり、メディアが言っていることはすべて嘘と考えたりすれば筋が通ってしまう。これを「トランプ・カルト」と呼ぶ人もいる。

前出のキャリー・レイク候補は、テレビのインタビューで「あなたはもし落選したら負けを認めますか?」と聞かれ、こう答えた。

「私は当選します。そしてその勝利を認めます」

これでは答えになっていない。そこでキャスターが同じ質問をした。すると彼女は「私は当選します。そしてその勝利を認めます」とまったく同じ答えを真顔で繰り返した。

あくまで負けは認めない、自分は負けるわけがないからだ。もし負けたら選挙は不正と暗に主張する。まるでロボットのような応答にキャスターは凍りついたが、支持者からは大喝采だ。

そこまでしてビッグ・ライにしがみつきたがる支持者にはある共通点がある。

かつての「白人優位社会」を取り戻したい

2020年の大統領選では、共和党支持者の大多数がトランプ氏に投票した。彼らの属性を大まかに説明すると、以下のように分けられる。

トランプ支持者を占めるのは圧倒的に男性・白人・45歳以上であり、年収1000万円以上の保守的なアメリカ人だ。

逆に、バイデン氏に投票したのは、女性・非白人・45歳以下・年収1000万円以下のリベラル、または中道派が多い。