遅刻や欠席という言葉がない学校

この学校のもうひとつの特徴が、遅刻や欠席という言葉がないということ。代わりにあるのが、「ゆっくり登校」「自宅」という表現。授業は全て生配信され、学校に来て学ぶか、自宅で学ぶかを生徒が選ぶことができます。自宅から参加する生徒は、授業中にやりとりができるか、放課後に個別担任とオンラインで面談などができれば、出席扱いとなります。 

始業時間は9時半。登校した生徒は、検温後、タブレットで今の気分を入れてチェックイン。
撮影=中曽根陽子

始業時間は9時半。登校した生徒は、検温後、タブレットで今の気分を入れてチェックイン。タブレットで登下校と生徒の気持ちの変化もチェック

タブレットで登下校と生徒の気持ちの変化もチェックイマここボードで今日の自分の行動を決める
撮影=中曽根陽子
タブレットで登下校と生徒の気持ちの変化もチェックイマここボードで今日の自分の行動を決める

廊下に貼られた「イマここボード」で時間割を見ながら、どこでどの授業を受けるかを自分で決めて、その場所に入ります。

他学年の授業を受けることも可能で、その際、学年の区別を意識させないように、1年2年3年ではなく、森・川・海という名前にするなど、細かい配慮がされていました。

個室も用意されているが、稼働率は予想より低かった
個室でオンライン等を活用して学習に取り組む(撮影=中曽根陽子)

校内には、個室のブースが用意されたシェアオフィスのような部屋があり、そこから授業にオンラインで参加することも可能です。個室は9つ用意されており、当初これでは足りないのではと危惧されていたのですが、ふたを開けてみれば稼働率は低かったそう。以前の学校では教室に入れなかったけれど、本当は教室に入りたいと思う生徒が多いのかもしれません。教室の中でも、可動式のホワイトボードのパーティションがあり、これで半個室のようなスペースを作ることもできます。生徒によって学習進度も違うので、先生は教室を回りながら、パーティションのホワイトボードを使ってその場で個別指導ができます。生徒の心理的安全性を確保しながら、教室にはいたいけれど、自分のペースで勉強したいというニーズに応えているのです。

一人でも、友達と一緒でも楽しめるゲームや本が置かれていて、生徒は自由に使える
撮影=中曽根陽子
一人でも、友達と一緒でも楽しめるゲームや本が置かれていて、生徒は自由に使える