共働きの場合は支給条件に注意

ここまでの話は、夫が会社員、妻は若い頃に働いていたが結婚後は専業主婦という典型的な年金世代を想定しています。

最近では年金世代でも共働きの夫婦も増えています。共働きの場合の年金戦略はどうなるのでしょうか。

基本的な戦略は「70歳への繰り下げ」です。

妻が働いているのであれば厚生年金にも加入しているでしょうから、夫婦ともども基礎年金、厚生年金の両方の受給開始を70歳まで繰り下げることを検討しましょう。

オフィスで仕事をする女性
写真=iStock.com/kokouu
共働き夫婦の場合は「70歳への繰り下げ」が基本(※写真はイメージです)

次に年齢差と加給年金を考えます。

共働きの夫婦でも加給年金は支給されますが、条件があります。

まず、妻の厚生年金の加入期間が20年未満であることです。妻に20年以上の厚生年金加入期間がある場合、妻が60歳を過ぎて特別支給の老齢厚生年金など年金を受け取れるようになる(受け取る権利が発生する)と、加給年金の支給が停止されてしまいます(特別支給の老齢厚生年金が支給されるのは昭和41年4月1日以前に生まれた女性まで)。

妻の厚生年金加入期間が20年未満であれば、60代前半の特別支給の老齢厚生年金を受給したとしても、加給年金は支給されます。

勘違いされやすいのですが、「妻の厚生年金加入期間が20年以上だと支給されない」のではなく、妻の厚生年金加入期間が20年以上であっても、妻が特別支給の老齢厚生年金などの年金を受給できるようになる(受け取る権利が発生する)まで、加給年金は支給されます。