写真や動画は個人情報の宝庫

特定のやり方は難しくない。SNSの投稿やプロフィール、名前、アカウント名などからは多くの情報が取れる。特に写真や動画は個人情報の宝庫だ。しかも複数のSNSを使っていれば、さらに得られる情報は多くなる。

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写真=iStock.com/FreshSplash
※写真はイメージです

一つのSNSアカウントがわかれば、IDが同じ他のSNSのアカウントを特定したり、相互フォローしている関係からサブ垢を特定したりすることも難しくない。SNSのアカウント名から本名を特定し、他のSNSアカウントや個人情報を把握することもある。

SNSのアカウントが匿名であっても、フォロー先ややりとりする相手から、所属先や居住地はわかる。たとえばフォロー先が慶應大学の関係者ばかりなら慶應大学所属や出身である可能性が高いし、やりとりする相手は実生活でつながりがあることが多いためだ。

投稿内容でも多くの情報がわかる。投稿内容に「期末テスト」「成績」「文化祭」「レポート」などの学生しか使わない単語が使われていたら学生の可能性が高いし、投稿しているランチの店が赤坂近辺なら会社は赤坂付近の可能性が高くなる。

「他人を垣間見るスリルかな」

たとえ本人が匿名で鍵垢(鍵付きアカウント)にしていても、安心はできない。

フォロワーやフォロー関係の中には、必ず本名で所属を明らかにした状態で使っている人が混じっている。その人の他のSNSアカウントを見つければ、フォロー関係から探したい人物のアカウントが見つかる可能性がある。

プロフィールやアイコンなどを見れば、所属や趣味などがわかることが多い。そこで、相手と共通点があったり、好感を持ちそうなアカウントになりすましてフォロー申請をする。フォロー申請を許可してもらえれば、鍵垢の中身も見られるというわけだ。

特定屋に依頼してくるのは、大学生や会社員、主婦などさまざまな属性の人たちだ。特定屋をしている人もさまざまだ。私が調べた限りでは、ごく一般的な「普通の人々」が多いようだ。

普段は会社員をしているという30代の女性は副業感覚で、3000円程度の特定代で引き受けている。

「もともと趣味で色々な情報を特定していた。彼氏の情報も特定したことがあるし、コツさえ分かればそんなに難しいことじゃない。公開されている情報から特定することは違法ではない。自分がやらなくても誰かがすると思う」

なぜ続けているのかをさらに聞くと、しばらく首を傾げた後、「特定できたときの達成感とか、他人を垣間見るスリルかな。あとはお小遣い。それだけ」