顧客とのやりとりを公開する特定屋チームも

「詐欺にあわれた方助けます。特定屋やってます。住所、電話番号、SNSアカウントなどを特定します。先払い2000円。成果が出なければ先払い金お返しします。お申し込みはDMまでお願いします。#特定代行 #特定します #詐欺 #詐欺師」

Twitterではこのような投稿が多数見つかる。もちろんInstagramでも多い。

Instagramに、依頼者のやりとりを画像で公開しているアカウントがある。数名でチームを組んで特定代行業を営んでいるようで、実際に行っている証拠として顧客とのLINEでのやりとりを、個人情報を伏せた形で公開している。特定代行を引き受けながら、実際はお金をもらうだけで何もしない詐欺行為も横行しているためだろう。

本名を特定するには6800円、住所は1万2500円、現在地は1万4000円といった価格で引き受けているようだ。

「特定屋」と依頼者のやりとりの一部。現在地は1万4000円で特定するという
筆者提供
「特定屋」と依頼者のやりとりの一部。現在地は1万4000円で特定するという

好奇心だけの人の依頼にも応じている

やりとりを見ると、「詐欺にあったため詐欺師を特定したい」というものが目立つ。その他、「振り込みをしたのに商品が送られてこないため特定したい」「夫の複垢(複数アカウント)を特定してほしい」「なりすまし被害にあっているので特定したい」などの依頼もある。

特定したいものはInstagramやTwitter、ゲームのアカウントなど。支払い方法はPayPay、LINEPay、コンビニ払い、メルペイが多く、たとえばPayPayは「受け取りリンク」払いにしている。ネットだけで完結し、相手にIDや携帯番号を教える必要がないためだろう。

依頼の中には、「単純に好奇心で素性を知りたい」というものも混じっていた。好奇心というだけの割には、本名や住所、年齢、職場や学校、経歴や家族構成、他のSNSアカウントまで依頼したため、結果的に特定代は5万円近い金額に上ったようだ。

このように明らかに不審で、正当な理由のない依頼も請け負って特定していることから、犯罪などに悪用される可能性も十分に考えられる。