ループタイおやじにはなりたくない

三浦 先ほど、社会派宣言ではないとおっしゃいましたけれど、恐らく「社会派」って、やや左翼的な東西冷戦構造時代の概念だと思うんですよ。『第四の消費』の山崎亮くんへのインタビューの中に「ループタイの人」が出てくるでしょう? いつも一言必ず言うのだけれど、中身はどこかで聞いたようなことばかりで、言う割には稼げていないような人たち。あれが「社会派」です(笑)。

 ああ、なんとなくわかるような気がしますね(笑)。

山崎 ワークショップを何回かやるうちに、なんとなく形式的なワークショップが多いなぁとは思っていました。
三浦 ループタイしたおじさんが出てきたり(笑)?
山崎 そうそう(笑)。インテリっぽい人たちとかね。でも、出てくるアイデアは、どこかで聞いたことあるようなものばかりなんですよね。
(『第四の消費』p.218 インタビュー「若者は、地方の魅力に目覚め始めた――コミュニティデザイナー 山崎亮氏」より)

三浦 あの部分は山崎事務所の若い者が消そうとしたのですけれど(笑)、イメージが湧くからといって残したのです。

 衣装合わせでも、一言必ずある人は、みんなループタイです(笑)。

三浦 やっぱりそうか(笑)。昔から、映画を観ると「小津安二郎がどうの」とか言っている人は、だいたいループタイをしているような。(1973年生まれの)山崎くんの世代になると、楽しみつつ、儲かることも考えつつ、でも、この古い町、なにかにしようよっていうふうに動ける。全然ループタイ感覚ではない。ここは世代の差を感じるのだけれども。

 そうですね。

三浦 僕や堤監督の世代は、今、山崎くんがやっているようなことをもし40歳のときにしていたら、「それじゃ食えないだろう」と周囲に思われるような社会派になってしまうわけです。

 それはよくわかります。僕自身、地域に何かフィードバックしたいんだよとか、地元学って面白いよねとか言えば言うほど、ループタイおやじになってしまいそうな自分に気付きますね。

三浦 実際のループタイおやじは65歳以上ぐらいにいると思うので、それより15~20歳若いわれわれは、そこには距離を持ちたいっていう感覚がありますね。

 そうですね。

三浦 僕も今の30代のように、もうちょっと儲けながら町もよくなるとか、よくなったら町も儲かったとか考えたいんです。