ひろゆきが旧統一教会問題を発信するワケ

【ひろゆき】僕が旧統一教会がらみで発信し続けているのも、要は「その後どうなるか」が知りたいんですよね。

国民の大多数はこの問題を「マズいよね」と思っているけど、政治家はこの問題をなかったことにしたいと思っている。だから、その綱引きでどっちが勝つのかを知りたいんですよね。

ただ、放っておくとおそらく政治家が勝ってしまう。なので、「これおかしいよね」とずっと言い続ける人がいたときに、それでも国民は忘れるのか、それともこの問題を考え続けるのか、その答えを知りたいというのがあって。

【エイト】ひろゆきさんが、この問題を当初から発信してくれているのは、めちゃくちゃ大きいです。この問題が社会問題であり続けるための養分を、ずっと供給してくれている。これだけ影響力のある人が、この問題をずっとやってくれているのは、とてもありがたいです。

【ひろゆき】とは言え、僕はあくまで、エイトさんや有田さん、チューリップテレビなどが頑張って取材してる情報を流すという、あくまで仲介役なので。

【エイト】先日、ABEMA Primeで現役2世信者の子2人と話したじゃないですか。その時、ひろゆきさんが矢継ぎ早に疑問をぶつけてましたよね。

それを見ていて、自分でも見えて来たことがあったんです。

彼らもひろゆきさんの質問に答えることで、自分たちが社会からどう思われているのか、改めて対象化できたと思うんです。

やっぱりこの人は、頭の回転が速くて頭いいんだなと感じました。うちの妻はひろゆきファンなんですけど、すごく感心していました。

【ひろゆき】マジですか。たぶん奥さんは、怒っている人を見るとニヤニヤする系の人が好きなんでしょうね(笑)。

孤高のジャーナリストと言われることへの違和感

【ひろゆき】でも、エイトさんは、その取材力と情熱を別のテーマに向けてみようと思ったことはなかったんですか?

【エイト】そもそも僕は、あまり情熱を前面に押し出すタイプではないですからね。最近は、「日の目を見ない問題を20年間も地道に取材し続けてきた孤高のジャーナリスト」みたいな扱いをされたりするのですが、なんか違和感があって。

鈴木エイト『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』(小学館)
鈴木エイト『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』(小学館)

別にそんなつもりでやってきていないし、けっこう気楽に楽しみながらやってきたので。結果として、自分は変わっていないけど、周りが変わっただけなんですよね。

だから、そういう扱いされると、「そういうふうに見てくれているんだ」という嬉しさはあるんですが、どこかで「これでいいのかな」と思ったりもします。街を歩いていて、知らない人からいきなり「頑張ってください」と激励されると、「いや、別に俺、頑張ってないけど」などと。

【ひろゆき】たとえばビジネス書とかだったら、読む人も多くて、当たればバカ売れするじゃないですか。仕事的には、そちらのほうが報われそうな気もしますけど、カルト系以外に広げたりはしないんですか?

【エイト】どうなんですかね。まあ、この問題をきちんと本にまとめたいとは、ずっと思っていました。いくつかのノンフィクションの賞に応募したり、企画を持ち込んでは落ち続けていました。今年の始めぐらいには、この問題は全然日の目も見ないし古びてきているし、もう自分の役目は終わったのかなと思ってさえいました。一時はかなり過疎っていたんです。

西村博之『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』(プレジデント社)
西村博之『ひろゆき流 ずるい問題解決の技術』(プレジデント社)

【ひろゆき】そうなんですか?

【エイト】そのころは取材もあまりできていないくらいだったのですが、本当にこの2カ月で、あらゆることが急激に変わってしまいましたね。

【ひろゆき】基本的にエイトさんは、傍観者的なスタンスですよね。

【エイト】僕は国葬などに関しても、自分の意見を言うつもりはまったくありませんでした。インフルエンサーでもないですし、何かを引っ張っていく存在ではないですからね。

僕は有権者の投票判断に必要な材料を提示するという立場なので、それ以上のことはやらなくてもいいかなって思っています。

(第5回に続く)

【関連記事】
【第1回】鈴木エイト×ひろゆき「自民党の旧統一教会"自主点検リスト"は、あまりに杜撰でひどすぎる」
4700億円以上をアメリカに送金済み…統一教会が日本人信者から徹底的に巻き上げた本当の理由
疑惑の中枢は数人…鈴木エイト氏が名指しした旧統一教会問題で「もっと追及されるべき」自民党の超大物議員
佐藤優「旧統一教会の本質は、反共ではなく、朝鮮半島の統一を悲願とする朝鮮半島ナショナリズムだ」
「精神科医が見ればすぐにわかる」"毒親"ぶりが表れる診察室での"ある様子"【2021下半期BEST5】