なぜ税金に税金を課すことが許さるのであろうか。国税庁は以下のように説明している(一部抜粋、揮発油税は本稿でのガソリン税を指す)。

消費税の課税標準である課税資産の譲渡等の対価の額には、酒税、たばこ税、揮発油税、石油石炭税、石油ガス税などが含まれます。これは、酒税やたばこ税などの個別消費税は、メーカーなどが納税義務者となって負担する税金であり、その販売価額の一部を構成しているので、課税標準に含まれるとされているものです。

これに対して、入湯税、ゴルフ場利用税、軽油引取税などは、利用者などが納税義務者となっているものですから、その税額に相当する金額を請求書や領収証等で相手方に明らかにし、預り金又は立替金等の科目で経理するなど明確に区分している場合には、課税資産の譲渡等の対価の額には含まれないことになります(国税庁HP上のタックスアンサーNo.6313「たばこ税、酒税などの個別消費税の取扱い」)

税金に税金が課されている

すなわち、ガソリン税はメーカーなどが納税義務者であるから販売価格の一部であり、軽油引取税は利用者が納税義務者となっているから軽油販売価格の一部を構成していない。それゆえに違いが出るという見解だ。ガソリンと同様にお酒やたばこも消費者から見ると税金に税金が課されていることになる。

この説明にある軽油引取税はディーゼル車に乗っている人が購入する軽油に課されるものだ。軽油にはガソリンのような二重課税は起きないのだ。

軽油には軽油引取税が1リットルあたり32.1円課されるが、軽油の場合は軽油引取税を含めた軽油の価格に消費税を課すことはせず、軽油引取税を課す前の軽油価格に10%の消費税を課し、それと軽油引取税を加える仕組みになっている。

(注:この他、ガソリン、軽油とも1リットルあたり2.8円の石油石炭税等が課されているがここでは省略して説明している)

そもそも企業は固定資産税や法人税など多くの税金を払っている。それらはその企業が販売するモノの価格にコストとして転嫁されている訳だから、ガソリン税、酒税、たばこ税に消費税がかけられるのも当然であるという理屈なのだ。

しかしながらこれらの税金は消費者が購入するモノにかけられているものであり、税額も高額であるから消費者からみると納得できない二重課税という印象が強い。そもそもガソリン税、酒税、たばこ税などは個別消費税とされている。個別の消費税なのだから、消費税(10%)の課税対象に含めないのが筋ではないのか。

財布の中身を確認する女性の手元
写真=iStock.com/Doucefleur
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