労働時間が短いだけでなく、時間給も低い就業者が増えている

パートタイム労働者の比率は、日本では顕著に上昇している。それに対して、他国では、さほど増えていない。OECDのデータによれば、2020年におけるパートタイム労働者とフルタイム労働者の比率は、つぎのとおりだ。日本が25.8%、韓国が15.4%、OECD平均が16.6%。

OECDの賃金統計は、フルタイム当量によるものだ。それに対して日本の賃金統計は、フルタイム当量で計算していないので、平均賃金の下落が大きく見える。これが、図表1の下落率が図表2の下落率より大きくなる原因だ。

OECDの統計は、フルタイム当量によるものであるにもかかわらず、日本の平均賃金が下落している。これは、パート就業者は、単に「就業時間が短い」だけでなく、「時間給も低い」ことを意味する。これは、先程の例で、3人目の人が労働時間が半分だが賃金が40だとしたら、フルタイム当量で計算しても、平均賃金は100から、240÷2.5=96に下がることを考えれば、分かるだろう。これが、日本の就業構造の大きな問題点だ。

つまり、労働時間が短いだけでなく、時間給も低い就業者が増えているのである。では、なぜそうした就業者が増えるのだろうか? これには、税制が大きな影響を与えている。

「103万円の壁」が平均賃金を引き下げていた

図表1でも2でも、2018年頃に賃金が上昇している。これは、18年に行われた税制改正の影響だ。具体的にはつぎのとおり。従来は、配偶者の給与収入が103万円を超えれば、配偶者控除を受けることができなかった。

そこで、パートなどで働く人は、労働時間を抑えて働いていた。これが「103万円の壁」といわれてきたものだ。このように、税制は、働き方に大きな影響を与える。日本の場合に女性の就業がパートタイムを中心にしたものになってしまうのは、このような税制の存在が大きな原因だ。

ところが、18年の改正で、配偶者の給与収入が103万円を超えても、150万円までなら配偶者控除と同額の配偶者特別控除を受けられることになった。そして、201万5999円までであれば控除を段階的に受けられるようになった。この改正に対応して、多くのパートタイマーが労働時間を増やしたのだ。このため、平均賃金が上昇した。

ただし、いまでも配偶者控除制度による制約は残っているのだから、本当はもっと働きたい人が、労働時間を抑えている可能性が否定できない。労働力が減少する社会において、このような制度の存在は、大きな問題だ。配偶者控除という制度は、「女性は専業主婦」という時代の名残だ。こうした制度を変えることによって、女性の社会参加を増やすことが可能だろう。