なぜ日本では女性登用が進まないのか。パナソニックコネクトの樋口泰行社長は「人任せにしていてはダイバーシティは進まない。心の中で否定している人がいたとしても、トップは絶対に諦めてはいけない」という――。

※本稿は、樋口泰行『パナソニック覚醒』(日経BP)の一部を再編集したものです。

パナソニック ショウルーム 東京のロゴ=2021年5月10日
写真=AFP/時事通信フォト
パナソニックショウルーム東京のロゴ=2021年5月10日

外資系企業を経ての「出戻り」

「まるで別の会社になった」
「変われなかった会社が変わった」

2017年4月に25年ぶりにパナソニックに戻ってから、6年目を迎えました。

新卒で松下電器産業株式会社(現パナソニックグループ)に入社したのは、1980年。その後、ボストンコンサルティンググループ、アップルコンピュータ株式会社、日本ヒューレット・パッカード株式会社、株式会社ダイエー、日本マイクロソフト株式会社と複数の企業を経ての「出戻り」は、日本の大企業には珍しいこともあって、メディアでも大きく取り上げられました。

同年6月にはパナソニックの代表取締役専務執行役員に就任しましたが、一方で私に委ねられたのは当時の4つのカンパニーのひとつ、パナソニック株式会社コネクティッドソリューションズ社の社長、カンパニー長でした(注、22年4月よりパナソニックコネクト株式会社)

主として企業向けのBtoBビジネスを手がけ、従業員が世界で約2万5000人、売上高が1兆円を超えるこのカンパニーは当時、経営的に厳しい状況にありました。

これをどう舵取りし、どう成長軌道に乗せていくか。