ロシアが欧州への石油・ガス輸出で得た利益は倍増した

原子力に関しても、ロシアと縁を切ることはできません。

国際原子力機関(IAEA)の報告書によると、2020年末時点で建設中の世界の52の原発のうち、ロシア企業は13を手がける。燃料となるウランも豊富で、EUの統計によると、EU域内で使われているウランの2割はロシアから輸入されている。(中略)

3月にEUが決めた制裁では、「ロシアのエネルギー産業への新たな投資の全般的禁止」が盛り込まれたが、「原発エネルギーは例外とする」と記された。(8月13日・朝日)

前述した日経の記事は、こう結ばれています。

IEAによると、ロシアが欧州への石油・ガスの輸出で得た収益は、ウクライナへの侵攻開始以来、950億ドル、13兆円で、例年の2倍に膨らんだという。

石油とガスの価格が上がったからです。一方、6月14日のBBCは、フィンランドに拠点を置く独立系の「エネルギー・クリーンエアー研究センター(CREA)」がまとめた報告書の内容を報じています。

CREAの報告書によると、ロシアはウクライナにおける紛争が始まった2月24日から6月3日までの100日間に、化石燃料の輸出で970億ドルの収入があった。このうちEUが61%を占めており、輸入額は約590億ドルだった。

ロシアの石油とガスは、全体としては輸出が減少している。ロシア政府のエネルギー販売による収入は、1日あたり10億ドルをはるかに超えていた3月をピークに下落している。

それでも、開戦から最初の100日間でみると、収入が戦費を上回った。CREAはロシアの戦費を、1日あたり約8億7600万ドルと見積もっている。

エネルギー販売だけの収入でも戦費を上回っているのでは、西側諸国による経済制裁の効果が出ているとはいえないでしょう。

CREAによると、ロシアの原油は現在、インドに大量に輸出されている。ロシアの原油輸出でインドが占める割合は、ウクライナ侵攻以前は1%ほどだったが、5月には18%まで上昇したという。

ロシアは、インドという新しい供給先を見つけたので、制裁措置の影響を免れているのです。