「脱感染対策」宣言に関連した施策の具体例

それでは、具体的にどのような施策が有効になるか、アイデアを紹介していこう。対象は小売店、飲食店、理髪店、ネイルサロン、温泉施設・銭湯、テーマパーク、プール、海の家、プロスポーツ(まぁ、対策強化推進派の専門家が属するNPBとJリーグは期待できないだろうが)、ショッピングモールなどを想定している。銀行のように手続き上、いやが応でも利用者は店舗に出向くことが必要な機関や、利潤追求を目的としていない役所といった公的機関は、組織の体質もお堅くて柔軟な対応がとりづらいだろうから、ひとまず様子見をしておけばいい。

◆アクリル板、ビニールカーテン、アルコール消毒液の廃止+マスク不要をうたう「脱感染対策宣言」

◆「当社・当店は、コロナは収束したものと考えております」という「コロナ収束宣言」

◆マスクなしで入店し、最後まで貫いた人・グループは5%値引き

◆感染対策をしていないことにクレームをつけ、営業を妨げるような言動をとった場合には、「ツイッターでモザイク付き写真を晒す」と宣言

◆施設などの利用時に撮影した「この日最高の笑顔」写真をSNSに投稿してもらうキャンペーンを展開。ハッシュタグ「#この日最高の笑顔」をつけたうえで、自社の公式アカウントをフォローすると、抽選で次回利用時に使える割引券をプレゼント

◆他の初対面グループと合流をし、交流を30分以上した場合は両グループに5%割引

◆「これまでの感染対策に不満を持っていた人」の思いをノートに書いてもらい、それをウェブサイトやSNSで公開。その思いを見たい人がサイトにアクセスすることで「こんな店があるんだ!」と知り、新たに来店して、思いを書く……という循環を起こす

ザッとこんなところだろうか。重要なのは「マスクをしたい人はしても構わない」「ワクチンを打っていようが打っていまいが構わない」というスタンスをとることである。これまで企業がとってきたコロナ関連の施策は、基本的に「マスクをしない人とワクチン接種しない人を拒否する、ないしは優遇しない」というものだった。そうした姿勢はとるべきではない。ただの差別である。

緊急事態宣言、マンボウはおそらくもう発出されない

先ほど列記したような施策を打ち出した場合、ツイッターでは相当な数のRTとコメントが付き、絶賛の声が多数挙がるのは間違いない。そして、批判する者に対しては「コロナ脳は一生家にこもっておけ」といった罵詈ばり雑言が数多く寄せられることになるだろう。合わせて「#〇〇スーパーの英断を支持します!」などのハッシュタグが登場し、さらに拡散される可能性も高い。

おそらく、緊急事態宣言とマンボウはもう発出されない。両方とも効果がなかったことが明らかなのだ。この2つは「人流を抑えること」と「時短営業、酒類の提供を制限すること」が目的だった。だが、2021年夏の第5波の急激な収束、そして2022年初頭の第6波で懸念されたゴールデンウィーク後の陽性者激増が、実際には横這い~減少傾向だったことで、人流抑制・時短・酒類提供の制限に意味がないことはさすがに明白になった。だから第7波では発出されないのである。

緊急事態宣言とマンボウの際、飲食店はアクリル板の設置や消毒の徹底をおこない、時短営業に協力したが、これはあくまでも営業を継続するため、もしくは補助金をもらうために必要な条件だったからだ。発出されていないのであれば、本来は不要な取り組みである。もし今後、発出されるようなことがあれば、そのときだけ営業継続や補助金のために設置すればよく、普段は事務室にでもしまっておいて、なにも問題ない。